鉄道代行バス紀行② 岩手県盛駅から釜石~宮古へ  by 増井 隆之

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 バス停盛駅から次に乗り継ぎするバスまでの時間が約1時間半あり、三陸鉄道盛駅の駅舎へ向かった。駅舎の前に立ってみて驚いた。盛駅が「ふれあい待合室」と名付けられて、地元の人達や旅行客の憩いの場になっていたのだ。いかにも三陸鉄道らしいお客さん本位の営業策と見た。中に入り地元の方々と三陸鉄道の話しをしながらコーヒーを飲んでいると、時間があっという間に過ぎていった。

盛駅

 

 これから先は、盛発釜石行きのバスに乗る。途中、大船渡市内の高校前に停まり、三陸鉄道の三陸駅や吉浜駅の駅近くや、仮設住宅がある平田総合公園などをこまめに寄って釜石駅に向かって走る。運賃は盛から釜石間は1050円。運行時間も気仙沼盛間と同じくらいの1時間20分ほどかかった。
釜石での夕食は、昼飯と同じように仮設店舗で食べようと考えて、私は駅から少し歩いたところにある、「飲み屋横丁」に向かった。そこで今年、3/11に発売されたと聞いた「福幸ビール」が飲めると思っていたが、地元の人達がこのビールを全く知らず、私から初めて聞いた、と話す人達ばかりで、残念ながら飲むことができなかった。

 翌24日は釜石から宮古までさらにバスで移動したが、途中にある、「道の駅やまだ」で、釜石駅から運行している岩手県交通から、岩手県北バスに乗り換えないといけない。この間は45分くらいかかり運賃は650円。そしてあまりお客さんが乗っていなかったが、「道の駅やまだ」から宮古までは、利用客の数が大違い、かなりのお客さんが乗り込んできた。

 私が乗ったのは「道の駅やまだ」発6時58分のバスであるが、1本前に6時46分発のバスが出ている。しかも、平日だとその間に6時51分発も設定されている。これほど頻発しているのに、私が乗ったバスは全区間内40人以上の利用客がいた。日頃からいかに、三陸鉄道や山田線を利用して通勤、通学、通院等、日常生活に使う人が多いかが痛いほど分かり、改めて鉄道の大切さを思い知らされた。特に、津軽石駅付近からの乗車も多く、乗り込んできた年齢層も幅広い。「道の駅やまだ」から宮古間の運行時間は1時間余、運賃は810円だった。

 宮古駅からこの日の宿泊先、郡山駅まで鈍行列車を利用するために「青春18切符」を使う。宮古駅から盛岡駅間は快速リアス号に乗った。運行は大船渡線のスーパードラゴンと同じように1両だった。宮古駅を出発するときには立ち客がいたが、その先は上米内駅まではほとんど乗降客がいなく、1両で足りてしまったのには軽いショックを受けた。この後は普通列車を乗り継ぎながら郡山へ向かったが、仙台付近の強風の影響で、2時間ほど予定が狂ってしまった。盛岡駅で乗り換えたときはまったく予想もできなかったことだった。

 仕方なく、福島駅から郡山駅までは新幹線に乗り換えて宿に向かい、このたびの乗り鉄家業を終えた。

 

( 2012年6月27日 寄稿 )

 

『鉄道代行バス紀行① 気仙沼から盛駅へ』は2012年6月21日寄稿