和紙の里探訪3

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●和紙の原料
 古くから和紙の原料は、(こうぞ〈写真左〉、桑科の落葉低木で3m位に成長。主に西日本の山地に自生、四国、高知産が多い。当地では埼玉、茨城、群馬産を使用。コウゾ・カウゾ・カンズ・カウソなどと呼ばれたがカミソ、紙麻の音便とも言われる)、三椏(みつまた〈写真右〉、沈丁花科の落葉低木で2m位に成長。紙幣の用紙として使われる)、雁皮(がんび、沈丁花科)の靭皮繊維を中心に使われ各々特徴がある。このほか麻、桑、竹、パルプなども用いられる。ネリには黄蜀葵(トロロアオイ、アオイ科の一年草で根を使用)。ネリは美しく均等な厚さの紙を漉くために不可欠なもので、国内では茨城県産が多い、四国の土佐産が根太く粘りも強いとされている。美男かづら、ノリウツギ、ニベなども使うが、紙がやや赤くなったりしてトロロアオイにはおよばない。
genryonokouzo.jpg 原料の楮
●紙漉きに向く土地柄
 紙漉きにあった土地の条件を備えていなければならない。もちろん原料の楮やネリの黄蜀葵などが入手可能なことは言うまでもない。また、楮や黄蜀葵の栽培、育成が難しいので、農作業の知識も必要となる。重要なのは清流、綺麗な水がなければ和紙は漉けないし、太陽の陽が当たらないと乾燥させることができない。
 東秩父村、小川町は秩父山系の麓の小川盆地で、町の南側を槻川が流れており、支流の兜川など豊かな清流に恵まれていたことが、小川の手漉き和紙を育んだといって良かろう。紙漉きは農家の副業(冬)として作られ、12~3月までは寒漉きといって最も良い時期とされる。夏場は原料が傷みやすく、黄蜀葵の働きが悪いからであるが、何といっても農作業の繁忙期であることも否めない。現在、槻川は水量も減少してしまい、古の清流ではなくなり、残念ながら井戸水を使用するようになってしまった。
パート4につづく
投稿者:菊地正浩
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