東京都で太平洋の大海原を見渡せる温泉郷 by 菊地 正浩
- 2013.07.19
- 地歴と旅(KK)

伊豆諸島八丈島は都心から約290km離れ、南九州、南四国、紀伊半島などと類似した黒潮圏にある。羽田空港からジェット機で僅か45分、花と緑と温泉の離島だが紛れもなく東京都である。温泉の湯船から夜は満天の星、元旦初日の出のご来光が望める。
温泉郷は中之郷、樫立、末吉地区などの海岸に湧出し、硫黄泉で含有分が良質である。




樫立の伊郷名地区は、古くは湯郷名と呼ばれ八丈島随一の温泉地であった。1972年(昭和47年)2月29日、八丈島近海地震(M7.2震度5)のために、泉源の位置が海岸の波打ち際になった。

温泉施設は町営と自治会が主体で、地元では銭湯感覚で楽しんでいる。なにせ、八丈島に居住していれば、70才以上100~200円、小学生100円なので、家庭で沸かすより良い。溶岩質の土壌に海水が滲みこみ、マグマで温められた温泉なので、塩分が多くなめると塩辛く湯船では身体が浮きやすい。
珍しいのは滝を見下ろしながら入浴できる「裏見ヶ滝温泉」。緑に囲まれた谷合の温泉で、中之郷自治会が管理運営する混浴温泉。水着着用が必要であるが、無料なので若い男女の海水浴客、ダイバーなどの利用も多い。


温泉水は無料で持ち帰れるが、普通の家庭で風呂に入れると塩分で錆びてしまうから、風呂場の設備には工夫がいるという。
( 2013年7月19日 投稿 )
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