東京スカイツリーと観光地のトイレ事情 by 菊地 正浩
- 2013.09.21
- 観光地とトイレ(KK)
NPO法人日本トイレ研究所は「観光地トイレの向上」を永年取組んできた。20年前頃は施設(洋式水洗、障害者、オストメイトなど)もさることながら、数、とくに男女別の比率を問題提起して各方面に働きかけてきた。
その後、劇場、映画館、博物館、百貨店などでは、いち早く取組み改善を図った。次いで駅、高速道路のSA・PAが追随した。今日、高速道路や道の駅では立派なトイレが整備されている。数は勿論、障害者も安心して使えるようになった。ピーク時に女子トイレで待ちきれない「おばさん達」が男子トイレにまで行列を作ったことは、今でも目に浮かぶが、これもほとんど解消された。
平成20年11月7~8日、長野県伊那市で全国シンポジウムを開催したことは記憶に新しい。旅ジャーナリスト会議も協力して、高遠の「桜の里」のピーク時対策、山岳トイレなどの課題に取組んだ。地元の高遠桜のほか、奈良の吉野桜、伊豆の河津桜からピーク時対策の発表があった。このような積み重ねが観光地トイレの向上を促進してきた。
●東京スカイツリー周辺のピーク時対策は?
スカイツリーは、建設当時から、トイレのピーク時や障害者対策などが話題だった。区や地元の商店街による町おこし策などでも当然問題提起された。現在、スカイツリー周辺はどう変化したであろうか。
生まれ変わった東武線「とうきょうスカイツリー駅」(旧業平橋駅)や、スカイツリー内、商業施設ビル内のトイレは洋式水洗、障害者施設など整っている。問題は周辺地域の観光客の受け入れ態勢である。
●観光地は周辺の商店街も含めて「おもてなしの精神」が必要
さて、634mの眺望を楽しみ、食事をしてお土産を買う。そこでのトイレ利用だけを考えていては観光地トイレとは言えない。
世界から旅行者が訪れる東京スカイツリーと周辺観光地には、おもてなしの精神が必要である。
地元の商店街では集客を見込み色々なアイデアで迎えたが、思ったより客足が伸びていない。人の流れを期待して商売だけを考えていたのであろうか。おもてなしの精神はどう考えていたのであろうか。
少し離れてはいるが、浅草の仲見世では相乗効果で観光客も増えている。本堂の脇には立派なトイレも出来た。しかし、仲見世裏通りにあるトイレは一向に向上しない。もう10年以上も前から外国人観光客が、たまらず近くのホテルへと飛び込む。真の観光地としてトイレ対策も、まだ過渡期にあるのかもしれない。
( 2013年9月21日 投稿 )
-
前の記事
軽井沢の夏、音のある世界① by 伊本 俊二 2013.09.15
-
次の記事
軽井沢の夏、音のある世界② by 伊本 俊二 2013.10.03