『篤姫』最終回「一本の道」

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 はい、最終回です。昨年の『風林火山』同様1年間見続けてしまいました。最終回は『風林火山』も従来の45分を延長して56分だったのですが、今回は異例の70分ですよ。それだけ今回のNHK大河は健闘した部類なのでしょう。桐野先生の情報によると、鹿児島市の『篤姫館』は11月に50万人を突破し、公開を2009年3月31日まで延長するそうです。指宿篤姫館でも15万人を突破しましたし、僕の制作した『天璋院篤姫』(一水社)も在庫セールで置いてくれないかな?
 本題に入ります。70分延長は案の定、明治元年(1868)から天璋院が亡くなる明治16年(1883)の16年間をダイジェストですっ飛ばしましたね。天璋院篤姫49年の生涯のうち残り3分の1の人生はオマケみたいな感じでしたね。天璋院様主導にすると明治の歴史の流れはそうなってしまいます。最後まで本寿院様は香水を霧吹のように相手にかけたり、「鮭といえば酒じゃのう」とかオバサンギャグでお茶目。小松が版籍奉還を率先したのは事実ですが、これを久光に進言し素直に聞いているのは不満。廃藩置県で一番反対した人なのに……。
  基本的には時代のすっ飛ばしの間に天璋院の母や兄、西郷や大久保、静寛院、滝山、重野、常盤などが篤姫に面会に来るという同窓会のような内容で、西南戦争、紀尾井坂の変を瞬時に終わってしまい、最終回では物足りない印象は否めません。でも、家達や天璋院晩年の髪型など、その人物に似せていたのは笑えました。
 締め方としては「人の幸せは地位や名誉ましてや財産でなく、気のおける友や家族とともに過ごす穏やかな日々」「この世はつまらぬことはない。誰もが天命果たすべきものをもって生まれてくる」というNHKならではの道徳臭さが出て嫌悪感を覚えました。天命果たすべきものって、凶悪犯や殺人犯も天命をもって犯行におよぶのでしょうか。
 まぁ、核家族が主体で独り暮らしの多い時代ですから、サザエさんのようなホームドラマが受けたのかもしれません。でも、よく月曜が憂鬱になる「篤姫症候群」にならなかったなと……。
 エンディングはよかったです。眠るように息を引き取り、魂がタイムスリップして鹿児島へ戻り、皆が追っかけて篤姫様が手を振っておしまい。どうせなら総キャストで追っかけやってほしかったですが……。このドラマが始まる前にヒロインの宮崎あおいさんは結婚してしまい、多くの独身男性ファンの視聴者を奪うことになるのではと失望しましたが、むしろ所帯をもったことで演技に幅も出て、よい結果になったとは思います。どうかこのドラマを教訓に幸せな家庭を築いてくださいまし(余計なお世話か)
 史跡紀行は鹿児島県日置市の小松帯刀の墓と、東京都台東区の寛永寺・天璋院の墓が紹介されました。小松の墓のほうはさすがに未訪ですが、寛永寺・篤姫の墓(通常非公開)は取材で撮影させてもらったので、今回は寛永寺と天璋院の墓、最寄のJR鶯谷駅のスタンプで締めくくります。最後に参考とアクセス増のため、1年間トラックバックを貼らせていただいた桐野先生にも、この場を借りてお礼申し上げます。
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あとがきにかえて
 1年間愛読ありがとうございました。以上をもちましてNHK大河ドラマ『篤姫』のブログは終わりです。総集編は3日間にわたり、12月26日に第1回「御台所への決心」(19:55~20:43)、 27日に第2回「大奥入城」(19:30~20:43) 、第3回「天璋院篤姫」(21:00~21:58) 、27日に第4回「徳川の母」(19:30~20:43) 、第5回「無血開城」(21:00~21:58)と放送されます。前回『風林火山』に比べると総集編も力の入れ方が違いますね。高視聴率でしたが、ノンフィクション派の僕的にはビデオを保存しようとは思わず、この時間帯に観れれば観てみようかなぐらいにしか考えていませんが。なお、1年分の『篤姫』はアーカイブにて総集で読むことができます。
 こうして旅じゃBLOGも無事2年目を終えようとしています。しかし、本年度もせっかく2月9日から6月15日まで4カ月間は毎日更新が復活したにもかかわらず、会員全体の関心のなさに途絶えてしまい、もはやこのWEB自体が存続の意義を問われています。代表のカリスマ編集者森田芳夫氏にはいろいろと協力をいただきましたが、残念ながら会員への投稿へと結びつけることができず、モチベーションを維持することの難しさを痛感しています。しかし、ますますデジタルが発達してゆく時代に、「お金がないから」「時間がないから」といって、ネット環境を強化していかないでよいのでしょうか。僕のような機械に不慣れな人間だけに、このWEBを管理させるのも考えもの。3年目に突入する前に果たしてこのブログを更新する必要があるのか、合理的に廃止すべきではないかと岐路に立っているのも事実です。
 詳細は後日に譲りますが、すでに2009年度大河ドラマ『天地人』を解説した『天地人 直江兼続』(メディアボーイ)が11月26日に発行のはこびとなりました。従来の史跡紀行から脱却し、直江兼続の生涯をつづったダイジェストはじめ、五大合戦戦記ドキュメント、政治面でみた兼続像、兼続ゆかりの南魚沼・上越・与板・会津若松・米沢の紹介、さらに資料編では上杉氏の版図変遷・関連史跡・人物事典・略年表・略系図など従来の構成から一新させました。巻末特集には肖像と甲冑選、スタンプコレクションなどをもうけ、付録として愛の前立てのポストカードもついています。本書も前回執筆していただいた女流作家の四條たか子先生はじめ、スペシャルとしてカリスマ編集者森田芳夫氏も寄稿。この効果が絶大な効力を発揮し、12月25日には2刷も配本されます。
 しかし、年々レベルアップ(自己満足かもしれない)してゆくNHK大河ドラマ本ですが、こちらのモチベーションが維持できなくなっているのもたしか。どうも歴史と縁のない版元だと、内容を理解してもらえないからで、節操なく関係のないジャンルを出してあとに続かない傾向が強く、これは出版界全体にいえることなのかもしれません。
 あと、最後になりますが、大河終了と同時に絶版になるであろう、下記の本。まだ購入していない方はぜひ買っておくことをお勧めします。

atsuhime.jpg 『天璋院篤姫と幕末を旅する』(一水社)
四條たか子著B5版 128P 1000円
2007年11月発行。12月2刷。第13代将軍徳川家定の正室として薩摩の島津家から嫁ぎ、激動の幕末を徳川家とともに生きた天璋院篤姫49年の生涯。本書では生誕の地の鹿児島から江戸、さらに幕末の舞台となった下田・横浜・京都などへエリアを拡大。篤姫や関連人物ゆかりの史跡からグルメ・おみやげ・沿線の記念スタンプまで旅の情報も充実しています。当会員の久芳勝也画伯の絵地図も必見。

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投稿者:管理人
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