滋賀県・長浜市を訪ねて(その1)  by 有田 慎二

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先日、さいたま市で「世界盆栽大会」なるものが開催され、大盛況とのニュースを見た。驚いたのは、外国人の製作者も出展していて、いまや盆栽を見るだけではなく、つくる側でも外国人が活躍しているということ。いや~、盆栽の人気が高まっているのは知っていたが、ここまで盛り上がっているとは、想像を超えていた。

というわけで、今回は盆栽のお話。をしたいんだけど、残念ながら盆栽に関しては素人だし、件の「世界盆栽大会」を見てきたわけでもない。その代わりといってはナンだが、今年1月7日から3月12日まで開かれていた「盆梅展」を見てきたので、盆栽ならぬ盆梅の話をしたい。

盆梅、ご存知ですか? 簡単にいえば梅の盆栽のことだが、これが意外に面白いんです。と、まあ、もっとらしい前フリをしたものの、じつはぶっちゃけ、ライター仕事の取材でたまたま行った、というそれだけの話。要するにネタの使い回しですいません。旅じゃの会員になってずいぶん経つが、生来の怠けものでなかなか原稿を出さずにいて、いい加減これではまずかろう、と。ネタの使い回しでも何もないよりはましだと思い、ようやくここで発表する次第である。よって次回以降も恐らくネタの使い回しが続くであろうことを最初に白状しておく。

 

☆ 長浜市で開催される、日本一の「盆梅展」

 

「盆梅展」が開催されるのは、長浜市。東京からだとちょっと遠いかな、と思いきや、行ってみたら意外に近い。某月某日、東京駅で7時33分発の新幹線ひかり号に乗り、9時44分に米原駅、そこで北陸本線の特急しらさぎ号に乗り換えてわずか6分、10時02分に長浜駅へ到着。東京駅から乗り換え1回、およそ2時間半の道のりである。

長浜駅から、「盆梅展」が行われている国指定名勝の庭園「慶雲館」までは徒歩約3分。駅からも近くていいね。「慶雲館」は明治20年(1887年)、明治天皇の御休憩所として建てられ、初代内閣総理大臣・伊藤博文により命名された。約6000㎡もの広大な敷地に総檜造りの秀麗な本館や茶室が整備され、近代日本庭園の先覚者と呼ばれた七代目小川治兵衛が手がけた庭園だけでも見に来る価値はある。興味があれば、「盆梅展」の開催時期ではなくても行ってみることをおすすめする。

慶雲館の庭園 盆梅展の期間外でも観る価値あり
慶雲館の庭園 盆梅展の期間外でも観る価値あり
慶雲館の中で開催中の盆梅展。赤い絨毯の側に大きな盆がずらり
慶雲館の中で開催中の盆梅展。赤い絨毯の側に大きな盆がずらり

では、いざ入場。純日本式家屋の畳敷きの部屋にずらりと並ぶ梅盆。中には高さ3m近い巨木があったり、樹齢400年を超える古木もあるなど、見応えたっぷり。盆栽に詳しくなくても、見ているだけで面白い。といいたいところだが、正直にいうと、盆栽に興味がない人は見ただけではその面白さはなかなかわからないだろう。筆者もそうだった。しかし、盆梅を一目見た瞬間からぐぐぐっと惹きつけられ、最後まで大変興味深く鑑賞できたのは、ひとえに、解説のうまい人がついてくれたからである。

この日は取材ということで、「慶雲館」の館長が自ら案内くれた。その館長の説明が上手でわかりやすく、また、館長は自分で盆梅の剪定もやっているそうで、製作者の意図なんかも解説くれたので、素人でも面白く鑑賞できたというわけだ。たとえば、盆梅の一つひとつに名称がついているのだが、その命名の由来を聞けば、なるほど、と感心するものあれば、また違った風に見えてくるものもあったりして、面白い。やっぱり、盆梅に限らず、こういうのは解説を聞きながら見ることが大事ですな。館長の解説付きだったのは取材者の特権だが、一般客として行ったときでも、できるだけ解説をお願いしたほうがいい。最近はどこの施設や史跡でもたいていボランティアなどの解説員がいることが多いから。

1つ1つに名前があって、命名の由来なども記されている
1つ1つに名前があって、命名の由来なども記されている

 

この日、展示されていた90鉢ほどの盆梅は、まだ花が咲いていない蕾のものもあり、後日また行けば、二分咲、五分咲、八分咲など、その都度で違った表情を観ることができたはず。さらに、展示物は毎日入れ替えを行っているので、何度行っても、行くたびに新たな感動を得ることができる。今年はもう終わってしまったが、来年はまた、できれば何回か足を運びたい、と思った。思っただけで、恐らく行かないだろうけど。

ちなみに「慶雲館」の道路を挟んだ隣には、「長浜鉄道スクエア」という施設もある。旅じゃの会員に多い鉄道好きの方にはこちらのほうがおすすめかもしれない。

写真4「長浜鉄道スクエア 日本で一番古い駅舎だとか」

 
 

今回はここまで。

 

次回に続きます。どうぞお楽しみに (^^)

 

( 2017年7月18日寄稿 )