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あしかがアートクロス  ~ 古民家に棲む ~  by 野﨑 光生

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この不気味な少年はいったい?


何を見つめる 1

 

 

通りから歴史を感じる棟門をくぐると、昭和の古民家がどっしりと構える。
玄関先で待ち受けていたのが、その不気味な少年だった。彼はこの家の番人なのか? それとも…


「棟門の先に古民家が」

 

 

その少年のまなざしを気にしながら、玄関の敷居をまたぐと、正面の壁からは湧き出すように物体が!


壁から湧き出る! 2

 

 

さらに、薄暗い廊下を進んで行くと、階段の上がり口には再びあの少年が姿を変えてたたずむ。彼は番人ではなく、案内人なのか?


彼の見つめるその先は? 3

 

 

そして、妖気を感じながらも、誘われるように二階に上がると、書院造りの和室に吸い込まれる。そこには四方に異質な襖がおさまり、昭和から現代へ瞬時にトリップしたよう。


部屋の北側には山の絵、確かにその先には本物の山々が連なる 4

 

 


床の間にも不思議な…  5

 

これらは古民家から突如として現れた異次元からの侵入者なのか?
それとも…

実は、これらは古民家に現代アートを展示するといった企画で、テーマは「古民家に棲む」。栃木県足利市で、まちなかの古民家や空き店舗を利用してアートを楽しもうというイベント「あしかがアートクロス」の一幕だ。
このイベント中で、この「古民家に棲む」は、足利を拠点に世界的に活躍するアーティスト3人が意欲的に取り組んだ注目の企画となり、たくさんの人々が訪れた。


応接間には3人の作品が同居 6

 

アート作品は美術館やギャラリーでは主役を務める。しかし、ここでは古民家という空間とそこに置かれた作品が、正面から対峙しているようであり、それでいて同質化しているようでもある。なぜか違和感なく共生していることに驚かされる。お互いに主役を譲らず、あるいは譲り合って、まさに共演の舞台となった。


彼に見送られて、旅は終わる

 

 

古都足利の古民家とういう過去と、現代アートが啓示する現在そして未来。それらが時空を超えて融合した空間へ一瞬にして旅をした。

 

 

作者と作品名(敬称略)

※1 牧田草平「野良」
※2 田沼真澄「夢ノヨリモノ」
※3 牧田草平氏作「影」
※4 菊地武彦「四方四季より『冬』」
※5 左上より 菊地武彦「四方四季より『秋』」、牧田草平「かなたⅡ」、菊地武彦「四方四季より『秋Ⅱ』」
※6 手前より 田沼真澄「夢ノヨリモノ」、牧田草平「幽玄」、菊地武彦「線の形象2016-23」