観光地とトイレ(KK)

巨大風車牧場(ウインドファーム)と観光地「会津布引高原」のトイレに思う  by 菊地 正浩

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 布引高原は猪苗代湖の南約10kmにあり、福島県郡山市、会津若松市、西白河郡泉崎村との境に位置している。布引山(1084m)を中心に広がる高原で、東西4km、南北2kmほどの平坦な溶岩台地。眼下に猪苗代湖の眺望が楽しめ、山腹にはミズバショウの咲く湿地帯や、国の天然記念物大カワラの木などがある。

●景観を阻害する風力発電33基の風車牧場
 この布引高原は、郡山市湖南町からの通勤耕作地として知られていたが、昭和59年9月26日に国有地の払下げをきっかけとして、花壇やジョギングコース、散策路などを整備して観光地化が図られた。観光地と言っても、猪苗代湖から距離もありアクセスも悪い。その後電源開発の巨大風車が林立するようになった。

布引高原

 

林立する巨大風車

 会津若松市から高原のある湖南に向って車で走ると、山の稜線に目障りな風車群が見えてくる。大型観光バスでは登坂が無理なヘアピンカーブを上ると高原に着く。駐車場はかなりスペースを割いている。売店は移動販売車のみで、休憩所らしきものはない。

 問題はトイレで、屋根のない工事現場用の仮設トイレ、全て和式で男女別になっているが手洗い施設はない。ただ、障害者、高齢者用は別に設置されている。

 

屋根の無い工事現場用の仮設トイレ

 

 

 

障害者、高齢者用トイレ

 観光地を名乗り、集客を目論むならば、屋根つきの合併浄化槽式の公共トイレなどであってほしい。中を見て入らずに我慢して帰る女性が多い。幸い(?)観光客も少ないようで、リピーターも期待できないから、これで良いと思っているのだろうか、観光地のトイレとしては寂しいかぎりである。

 

●いろいろある布引山
 布引山の謂れは「猪苗代盆地から反物を横に広げたように平に見える」ことに由来する。

 さらに、羽鳥福島線(R235)を南下すると、岩瀬郡天栄村には、白河布引山(950m)がある。近くには鶴沼川を堰き止めた人造湖「羽鳥湖」。周辺は高原動植物の宝庫といわれ、会津西街道(R118)の鳳坂(ほうさか)峠(838m)は太平洋と日本海の分水嶺である。ここも大手のリゾート開発により別荘やゴルフ場銀座となってしまった。かつての白河布引山の面影はない。さらに、南東へ下ると八溝山系の東部は布引山に属する山々で、茨城県へと接する。

 このほか布引の名称は各地に散見できる。三重県の布引山地は、伊勢と伊賀国境を南北に走る山脈で、延長約30km。笠取山(844m)を最高峰として北は加太越えに鈴鹿山脈、南は桜峠付近で室生山地と接する。笠取山から青山峠にかけての尾根は2~800mの小起伏面が発達する隆起平原。遠方からは南へ僅かに傾斜する高原状の稜線として望見できるところから、布引(青山)高原の別称がついている。

 伊賀上野から青山町を抜け松阪青山線(R29)を走行すると布引峠がある。

 「遠くから見た山地形が、布を引いたようである」と言われるが、最高峰は大洞山(985m)である。ここの布引山一帯もリゾート開発とゴルフ場銀座。このように、布引山とは地形が高原であり、峻険、僻陬の地ではないので開発されてしまう。全国にある他の布引山地はどうなっているのであろうか?

 

( 2012年7月17日 寄稿 )