東日本大震災と磐梯熱海温泉、これからの観光福島を探る① トルヌス特別号から  by 菊地 正浩

 福島県の磐梯熱海温泉は、JR郡山駅から磐越西線で3駅目(快速で約15分)、磐越自動車道では磐梯熱海ICを降りて5分で磐梯熱海駅に着く。風評被害にも見舞われているというこの地に、今何が起こっているのか? 何が必要なのか? 3月22〜23日、旅ジャーナリスト会議メンバー5名(森田代表、小川事務局長、菊地、荒木、吉野の各会員)で訪れた。頑張れ、磐梯熱海温泉。東北の名門温泉をもっと良く知ろう。

 

 ●明治初期、鉄道開通で人口が増えた熱海町

 

 磐梯熱海は、観光の全盛期に比べれば人通りは少なく客待ちタクシーも寂しげだ。

 駅舎にある観光協会に立ち寄り、「イラストマップ」を貰い最近の様子を尋ねると、「ご覧のとおりですよ」「おまけに今日は強風のため列車に遅れが出ているし」と力のない返事。居合わせた地元のおばさんも加わり地震や原発の話となる。

 駅舎の待合室には1人の客がポツンと座っていた。「一人ですか?」と尋ねると、「列車待ちの仲間は足湯にいるよ」とのことであった。

 早速、「駅前足湯」へ行ってみる。脱衣スペース、ベンチ、手荷物スペースなどがある立派な足湯場である。

駅前足湯は地元の人にも人気

 
 足を入れてみると最初は熱く感じるが直ぐに馴れ、外気は冷たいがポカポカしてくる。5〜6人談笑しながら入っているところへ仲間に入れて貰った。毎日来るという地元の人が気さくに話しかけてくる。

「以前は順番待ちでなかなか入れなかったけど、地震の後はこの通りさ」

「おかげで毎日足湯で長湯して帰るんだ。家は農家だけど昔は不動産屋が、田畑3反を3千万円で買いにきたもんだ。今じゃ郡山でも下落率が一番高いとかで2百万円もしないよ」

「おかげで若い者はどんどん外へ出ていくし、おらたちは皆年をとるしよ」

「風評被害にあっているのも一因じゃないですか?」

「たしかにな、去年の春もそうじゃが、今年の春もそうやろ、この1年はフキノトウ、タラノメなどの山菜、ヤマメ、イワナなどの魚を食べていないよ。放射能のせいだよな」

 郡山市内の開成館や歴史民俗資料館も被災して閉館中とのことである。

 

 最近では、同じ福島県浜通りいわき市が0・17マイクロシーベルトなのに、郡山市は0・60マイクロシーベルト。原発からは遠いのに高いのは風向きの関係らしい。この値が、山菜などを食べて良いのか、悪いのか、敏感な人に影響を与えているのだろうか。また、このような数値だけの報道が続くかぎり温泉地への足も遠のくであろう。

 遅れた列車が来るというアナウンスがあり、2〜3人足を拭いて急ぎ出て行った。これを機に地元の人も出て行った。誰もいなくなった駅前、バス停に一人ポツンと座って待つおばあさんの姿が印象的であった。

長い階段が続く源泉神社

 足湯は温泉神社の前に「お美あしの湯」、源泉神社の前に「ケヤキの森足湯」もあり、観光客や地元の人にも利用されている。

 

≪ トルヌス特別号(2012年6月16日発行)から 1/4回 ≫

( 2012年6月29日 掲載 )

 

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