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渡邊恵美子 アーカイブ

2008年09月16日

「トロッコ王国美深」へ行ってきました

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 先日、北海道旅行をしてきました。「トロッコ王国美深」とは1985年に廃線となった美幸線の廃線跡の一部約5㎞を利用し、エンジン付きのトロッコを観光用に運行しているものです。起点である旧仁宇布駅の敷地内には古い駅舎を模した受付があり、美幸線の資料展示などのある待合室も併設されています。トロッコは自動車普通免許さえ持っていれば誰でも運転できます。免許がない人にはスタッフの運転するトロッコに乗車することになります。わたしは免許がないのでスタッフの運転するトロッコに乗せてもらうことになりました。わたしの乗車したトロッコは「スカイライナー号」で、写真を見るとわかるように、ハイデッカーでワイドビューでパノラマカーです。視界を遮るものはまったくなく、鉄分の濃い方にはたまらない光景が眼前に広がります。

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 起点で簡単な説明を受けた後、トロッコは往復10㎞の小さな旅に出発します。時速は最高で30㎞/hくらいですが、実際にはそれ以上のスピードのような気がします。特に鉄橋の上ではかなりのスリル感を覚えます。また、沿線の白樺やその他の木々がトンネルのようになっている場所がいくつかあり、二階席に座っている場合は頭上に注意が必要です。美深方面へ5㎞走るとそこが終点で、向きを変えると起点へ向かって再出発となります。美幸線は単線ですので、次の客は前の客が戻って来るまで出発はできません。往復で約30~40分くらいかかりますので、時間に余裕のない人や待つ時間を楽しめないような人には向いていません。待っている間はぼけーっとして空を眺めているのもいいですし、起点の周辺を散策するのもいいでしょう。羊の乳で作った珍しいソフトクリームを売っている店もすぐ近くにあります。さっぱりとして羊の臭みはない美味しいソフトクリームでした。
 大人でも十分に楽しめる場所ですが、交通の便が非常に悪い場所にありますので、なかなか訪れる機会がありません。JR美深駅から路線バス(所要時間30分)はありますが本数は少ないです。
 廃線となった場合、線路は剥がされてしまうものですが、この路線は美深町が買い取って保存をしていたそうです。訪れる人は少ないですが、こうやって今でも線路の上を列車(トロッコ)が走ることができるのは鉄道ファンにとってとても嬉しいものです。できることならもっと多くの人にこの存在を知ってもらい、いつまでも存続できることを祈りたいと思います。

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トロッコ王国美深公式HP
http://torokko.co.uk/index.php

投稿者:渡邊恵美子
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2009年06月30日

梅雨の合間に

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雨の似合うアジサイも真夏のような日差しで少し乾燥気味のようです。
江ノ電沿線にはアジサイの花が見られる場所がいくつかありますが、極楽寺駅から長谷駅へ向かう途中の御霊神社は隠れたアジサイの名所です。また鳥居の前が線路になっていて、江ノ電の写真を撮る好ポイントでもあります。
梅雨が明けると多くの観光客や海水浴客で賑わう鎌倉も、この日は静かな佇まいを見せていました。

投稿者:渡邊恵美子
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2009年07月21日

北海道の動物たち(第1回キタキツネ)

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 イヌ目イヌ科キツネ属アカギツネの亜種。アイヌ語ではチロンヌップ(どこにでもいるもの)と呼ばれる。それくらいどこでも見かけられる北海道の動物の代表。その愛らしい姿が多くのキャラクターグッズとなり、ぬいぐるみなどは土産物の定番でもある。

 夏になると、春先に生まれた仔ギツネたちが母親に連れられて人間の前に姿を現わすことが多くなる。本来は人間との距離を適当に取りながら共生していくものだが、観光地では観光客らに餌をねだる通称“観光ギツネ”が増え、人間の食べ残しを漁る個体も多い。
 私が積丹半島神威岬の駐車場で見かけた母子ギツネは観光客からスナック菓子をもらって食べていた。近づいて写真を撮ろうとしても逃げず、1メートルの近さまで近づいても平気で食べ続けていた。警戒心を失ったキタキツネたちは人間の与えた餌によって寿命を縮めたり、車に轢かれて死んでしまうという悲劇に見舞われる。

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 人間の無知や身勝手が野生の生態系を崩し、キタキツネに限らず他の野生動物たちの生息環境を悪化させてしまっているのだ。またキタキツネはエキノコックスという寄生虫によって引き起こされる感染症を媒介する。だから決して彼らには近づかずに適度な距離を持って見守ってやりたいと思う。

第2回エゾジカ(7月28日)につづく

投稿者:渡邊恵美子
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2009年07月28日

北海道の動物たち(第2回エゾシカ)

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 偶蹄目ニホンジカ科ニホンジカの亜種。ニホンジカより大きく、雄は体長90~190cm・体重50~130kg、雌は体長90~150cm・体重25~80kgに達する。北海道全域に住んでいるが、道央から道東にかけての森で多く見かける。特に知床や阿寒では道路や線路にまで現われ、車とぶつかったり列車を止めるなど日常茶飯事な出来事でもある。

 なんとも愛らしい容貌であり、少しお間抜けなところが可愛いエゾシカ。冬の道東を旅すると、人間に出会う数よりもエゾシカに出会う数の方が多い。蝦夷地に天敵であるエゾオオカミがいた頃は自然に数が調整されていたのだが、人間によってエゾオオカミが駆除されてしまってからは数が増えすぎて害獣となっている。現在では捕獲した個体の肉を食用に加工している。エゾシカの肉の入ったカレーを食べたことがあるが、意外にも臭みはなく美味しいものだった。

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 天敵がいなくなり、また温暖化によって雪が少なくなると餓死する個体が減る。そうやってエゾシカは爆発的に数が増えてしまった。知床ウトロでは住宅地の中をエゾシカが平気で歩き回っていて、車と衝突することが多いという。おまけに大きな雄ジカと軽乗用車では車の方が大破して、運転手が死亡するということもあるらしい。実際にウトロへ行った時に大きなエゾシカが町中をうろうろしている姿を何度も見た。別に彼らは人間の住んでいる場所が気に入っていてうろついているのではないし、人間とトラブルを起こしたいのでもない。ただ生活圏が重なってしまっているだけなのだ。人間だってあんな可愛い生き物を好き好んで獲って食おうとしているのではない。数を減らさないと増え続けてしまうからだ。
 北海道に限らず全国でシカが増えたことで生態系のバランスが崩れてしまっている。そのためオオカミの再導入を図り、天敵による捕食で数を減らそうという声が上がっているらしい。かつて人間はオオカミを恐れ徹底的に駆除してしまった。しかし人間が必要以上にオオカミへ接触せず、正しい知識を持ち、野生動物に対して畏敬の念を持つことができればオオカミともエゾシカともうまく共存できるのではないだろうか。

第3回オオワシとオジロワシ(8月4日)につづく

投稿者:渡邊恵美子
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2009年08月04日

北海道の動物たち(第3回オオワシとオジロワシ)

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オオワシ…タカ目タカ科ウミワシ属。全長90~100㎝で、翼開長200~250㎝、体重4~9㎏に達する。日本に生息するワシタカ類の中では最大で、天然記念物に指定されている。肩と尾羽が白く、大きくて黄色い口ばしが特徴。
オジロワシ…タカ目タカ科ウミワシ属。全長約80cm、翼開長約200㎝、オオワシよりもひと回り小さめ。オオワシと外見は似ているが尾羽だけが白いところが特徴で名前の由来でもある。

 冬の知床を旅していると時々彼らと出会う。木の上から私たちを睥睨していたり、流氷の上でカラスと餌の取り合いをしていたりと、様々な姿を見せてくれる。しかし写真を撮るとなるとなかなか難しい。まず個体数が少ない。エゾシカのように道端で待っていてくれるようなことにはならないからだ。そして遠くにいるから望遠レンズを付けていても小さくしか写らないし、また腕の未熟さゆえに飛んでいる姿を撮るのはほぼ不可能に近い。それでも羅臼港の岸壁にいたオオワシが羽ばたく一瞬を撮ることができたのは奇跡といってもいい。

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 彼らの個体数の減少もまた人間の愚かな行為のせいだ。ハンターが射殺したエゾシカを山野に放置するようになったことで、その死体をオオワシやオジロワシなどの猛禽類が餌とする。すると鉛の銃弾を一緒に食べてしまって鉛中毒を起こしてしまうのだ。北海道はエゾシカ猟に鉛弾の使用を禁止しているが、十分な効果は挙がっていないという。政府が保護増殖事業計画を進めていても、人間の意識が変わらなければ野生動物の保護は成功するものではないと思う。

第4回ゴマフアザラシ(8月11日)につづく

投稿者:渡邊恵美子
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2009年08月11日

北海道の動物たち(第4回ゴマフアザラシ)

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ネコ目アシカ亜目アザラシ科。体長160~170㎝、体重70~130kg。「ゴマちゃん」として人気のある、北海道ではもっともよく見かけるアザラシ。名前のとおりゴマのように見える文様が特徴。冬になると流氷と共にやって来て、氷の上で出産・育児を行い、流氷が消滅すると北上していく個体が多いが、道東の風蓮湖や野付半島などに留まる個体もいる。

 私はアザラシが好きだ。三度の飯より好きかと聞かれると難しいが、アザラシマニアを自負し、毎年のようにアザラシに会うために北海道へ行っている。この5年間で会えなかったのは07年だけで、マニア内では“アザラシの聖地”と呼ぶ紋別市の「とっかりセンター」へは3回詣でている。とっかりとはアイヌ語でアザラシを意味し、ここにはゴマフアザラシの他、アゴヒゲアザラシ、ワモンアザラシ、クラカケアザラシがいる。漁網に掛かったり迷子になった仔アザラシを保護し、リハビリの後海へ還すという活動を行っている国内唯一のアザラシ専門保護施設だ。しかし全部が海へ還ることができる訳ではなく、自然復帰できない個体はここで展示・研究動物として暮らしている。

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 動物園や水族館で人気者のアザラシだが、漁師たちの間では厄介者とされている。彼らは餌となる魚を追いかけているうちに漁網を破ったり、魚を食い散らかすなどして害獣として扱われてしまうのだ。彼らには悪意などまったくなく、また彼らは漁網に引っ掛かってしまうと命を失うことにもなる。稚内市の抜海港では多くのゴマフアザラシが越冬し、近年それを見に来る観光客が増えている。観光資源でもあるゴマフアザラシだが、彼らと漁師たちの共存はなかなか難しいようだ。

第5回タンチョウ(8月18日)につづく

投稿者:渡邊恵美子
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2009年08月18日

北海道の動物たち(第5回タンチョウ)

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ツル目ツル科ツル属。全長130~140cm、翼開長220~230㎝、体重7~10kg。羽毛は全体に白く尾も白いが、長くて黒い風切羽に覆われているため、立っている時はこの羽が垂れて黒い尾羽のように見える。頭頂から後頭部は皮膚が裸出して赤く、これが「タンチョウ(丹頂)」の名前の由来。道東の湿地帯、主に釧路湿原に生息する特別天然記念物。アイヌ語ではサルルンカムイ(湿原の神)と呼ぶ。日本で見られる7種のツルのうち、唯一日本国内で繁殖する。

 江戸時代から明治時代にかけて乱獲され、一時は絶滅したとみられていたタンチョウ。1920年代に釧路湿原で再発見され、1940年代から保護の取り組みが本格化した。保護区域を設け、住民による給餌によって生息数は約1000羽まで回復した。しかしこれで安心できるというものではない。人間と野生動物の間で起きるトラブルは互いの生息区域が重なり干渉し合うからで、ここでも人間のエゴによる犠牲が絶えない。人家の周辺では電線にぶつかったり、車や列車との衝突、農薬や鉛などの重金属摂取による死亡など、タンチョウにとって決して住みやすい環境になったとはいえない。

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 冬期の餌の不足する間、鶴居村や釧路市の給餌場ではタンチョウに餌を与える。それを観光客が見に来ることで、冬の大きな観光資源となっている。動物園ではない場所で動物が見世物になっているようで、個人的にはあまり気分はよくない。それでもタンチョウに対する理解と見識が深まればいいのだが…
 タンチョウは湿原の神と呼ぶに相応しい優美で神々しい姿をしている。雪原で舞う姿も、青空を背景に群れて飛ぶ姿も被写体としてとても魅力的だ。写真撮影を趣味にしている人なら一度は冬の釧路湿原へ行くといい。天から舞い降りた神に会えるのだから。

第6回オオハクチョウ(8月25日)につづく

投稿者:渡邊恵美子
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2009年08月25日

北海道の動物たち(第6回オオハクチョウ)

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カモ目カモ科ハクチョウ属。
全長約140cm、翼長約60㎝、体重約10kg。全身白色で、上くちばしは黄色で下くちばしと足が黒い。繁殖地はユーラシア大陸北部で、越冬のために日本に飛来する。道東の濤沸湖、屈斜路湖などでよく見られる。
 冬期、オオハクチョウが飛来する屈斜路湖は白鳥の湖と化す。湖岸の砂を掘ると温泉が湧き出す「砂湯」周辺は湖が凍らない上、多くの観光客がパンの耳といった餌を与えてくれるので、彼らにとっては天国なのかもしれない。野生動物のわりにお気楽に見えるのもそのためなのか。それとも元来そういった生き物なのかわからないが、暢気に毛づくろいしている姿は自然の厳しさを感じさせない。

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 一方、濤沸湖のオオハクチョウたちは大変だ。屈斜路湖同様に餌を与えてくれる観光客が多いが、それ以上にライバルも多い。カモやカラスたちがおこぼれを狙っている…というよりも彼らの方がオオハクチョウたちよりも大きな顔をして幅を利かせている。せっかくオオハクチョウの若鳥に餌を投げてやっても、すぐに要領のいいカモに盗られてしまう。それなのに悔しそうな顔をすることもなく、次の餌を投げてもらえるのを待っている。「餌を投げるこっちの方が悔しいぞ!ちゃんとキャッチしろ!」と言いたくもなる。
 去年5月、北海道で見つかったオオハクチョウの死骸から強毒性の鳥インフルエンザウィルス「H5N1型」が検出されたというニュースを耳にした。極度に恐れる必要はないが、野生の動物と触れ合う際には適度な距離を保ち、必要以上な接触は控えるべきであると改めて自分に言い聞かせる事件だった。

第7回エゾナキウサギ(9月1日)につづく

投稿者:渡邊恵美子
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2009年09月01日

北海道の動物たち(第7回エゾナキウサギ)

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 ウサギ目ナキウサギ科ナキウサギ属キタナキウサギの亜種。体長10~20㎝、体重60~150g、夏毛は赤褐色で、冬毛は灰褐色から暗褐色になる。大雪山系や日高山脈などの主に800m以上の高山帯のガレ場に生息する。ウサギといっても耳長は2㎝程度しかないので、ネズミのように見える。氷河期にシベリア大陸から北海道に渡って来たと考えられていて「生きた化石」ともいわれている。

 北海道の野生動物の中でなかなか出会うことのできない動物のひとつがエゾナキウサギだ。彼らの生息地域が狭いということと、一般の観光客が訪れることのない山岳地域であること、そして小さい上に憶病で人前に姿を現わすことがめったにないからだ。わたしが彼らに出会ったのは9月下旬の大雪山系然別湖に近い駒止湖のガレ場。ここはエゾナキウサギが見られる数少ないポイントのひとつである。人間が岩のようにじっと動かないでいると、どこからか「キチッキチッキチッ」という声が聞こえ、声のした方向を向くと、岩の上にちょこんと座っている彼らの姿がある。9月から10月にかけては冬場の食料集めに忙しいため、ゆっくりと日向ぼっこをすることはなく慌ただしく駆け回っている。彼らは冬眠することはなく、秋のうちに貯めておいた草やコケ、キノコなどを食べながら冬を越すのである。1時間弱観察していたが、姿を見たのは3回で、撮れた写真は1枚だけだった。
 氷河期からの生き残りであり、分布が限られていることや環境変化に弱いため個体数は少ない。夕張岳や芦別岳の個体群については絶滅のおそれのある地域個体群(環境省レッドリスト)に指定されているにもかかわらず、天然記念物に指定されていないというのは驚きだった。それはエゾナキウサギの生態の多くがまだ謎に包まれているからで、なにしろ彼らが初めて捕獲されその正体が明らかになったのは、1928年に置戸町で植林されたカラマツを加害する害獣としてだったほどだ。以後少しずつ生態が解明されてきてはいるが、森林伐採や道路建設などの開発で彼らの住処を奪わないようにすることが最重要課題であることには間違いない。

第8回(最終回)旭山動物園の仲間たち(9月8日)につづく

投稿者:渡邊恵美子
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2009年09月08日

北海道の動物たち(第8回旭山動物園の仲間たち)

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 旭山動物園は今もっとも人気のある動物園のひとつだ。その人気の秘密は動物たちの自然は生態が見られる「行動展示」によるもので、近年全国の動物園でも同様の展示施設が増えつつある。
 1967年7月に開園し、しばらくの間は入園者数も右肩上がりだったが、80年代前半をピークに減少を始めた。そして1994年にニシローランドゴリラやワオキツネザルが相次いでエキノコックス症で死亡するという事故が発生した。人間への感染の恐れはなかったが、入園者数の減少に拍車がかかった。閉園に危機に見舞われるが、動物園職員の努力によって奇跡の復活を遂げた。1997年に「ととりの村」と呼ばれる鳥たちが自由に飛び回るができる大きな檻の中に人間が入るというタイプの施設を完成させた。翌年以降「もうじゅう館」「ぺんぎん館」「おらうーたん舎」「ほっきょくぐま館」などといった施設を毎年のようにオープンさせ、2004年の「あざらし館」のオープンは多くのメディアに取り上げられた。その結果、夏期(7・8月)の入場者数は恩賜上野動物園を抜いて日本一となった。旭山動物園は全国の動物園の見本となり、行動展示を採用する施設はどんどん増えていった。もちろん旭山動物園の魅力は行動展示によるものだけではない。ここで働く職員たちの動物たちにかける愛情や熱意が来園客にも伝わるからだと思う。園内各所に見られる手作りの案内板や、「もぐもぐタイム」と呼ばれる飼育員による解説つきの給餌などソフト面にも見られる。

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 ここの動物たちはみんな生き生きとしている。ペンギンが空を飛ぶように泳ぎ、ホッキョクグマが豪快にプールにダイビングする。アザラシが水中トンネルからこちらを興味深げに見つめる姿などはテレビや映画などで見たことのある人も多いだろう。彼ら自身が楽しいのだから、見ているこちらが楽しくなるのは当然のこと。新しい施設がどんどん建設されていくので、リピーターが多いのも頷ける。

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 あざらし館の屋外部分の一角に簡単な金網で囲まれた場所がある。そこにはオジロワシが一羽だけいる。屋根もなく繋がれている訳でもないのだから自由に出入りできるはずなのだが、ただ止まり木に止まってじっと空を見ていた。この個体は1988年に稚内で交通事故に遭い、怪我をして保護されたものだ。その際に左翼を失い、野生に戻ることができなくなってしまった。つまり大空を飛ぶ自由を奪われてしまったということだ。大空の王者であった時のことを懐かしく思っているのか、それとも自分から翼を奪った人間の姿を見たくないのか、この時はこちらに視線を向けることはなく、哀しげな目でずっと空を見つめていたのだった。

 わたしは北海道が好きで、毎年のように訪れている。特に野生動物の生き生きとした姿を見るのが楽しみで、それを自分の記憶とともに写真にも収めている。その中で思い出深い動物たちのことを稚拙な文章で紹介してきた訳だが、これで彼らのことを愛しく思い、自然環境に対する関心を持ってもらえたなら、わたしのやってきたことが少しは意味のあるものとなる。厳しい自然の中で一生懸命に生きている健気な動物たちがいて、彼らが人間の手によって命や自由を奪われているという現実を知ることが、彼らとの共存への第一歩なのだから。

おしまい

投稿者:渡邊恵美子
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 渡邊さん連載お疲れ様でした。なお、渡邊さん投稿のバックナンバーはこちらのカテゴリーから見られます。最後だから読者のみんなもコメントを残していってね(by管理人)

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