歴史保存建築・近代建築(HRM)

< もと人民解放軍の軍事工場だった798大山子芸術村 >

 中国の北京で最もホットで中国らしいと言える場所は大山子芸術村でしょう。もともと人民解放軍の軍事工場「798工場」だった所なので、「798芸術区」とも呼ばれています。

 かつて市内に分散して多くの芸術家村があったのですが、2009年ごろ軒並み大型の建設用地に組み入れられることとなり、都市再開発での強制収容がおこなわれた。そのため、1000人以上の芸術家が立ち退きの渦の中に巻き込まれ、彼らは最後に798に辿り着くこととなったのです。結果として、この旧工場建物群は、貧乏なアーティストの卵を育てるインキュベーター装置として機能を始めることになったのです。

お店の裏には、古い工場跡も見られる

●キャラリーやカフェ、レストランが建ち並んでいる
 敷地はいかにも中国らしく広大で、全部じっくり見ようとするとまる1日はかかりそうです。100以上ものギャラリーが並び、それに広告代理店、デザイン事務所など加わり、カフェ、レストランにディスコやブティックなどもあます。その間を行きかう人々には欧米からの観光客も多く、インターナショナルな雰囲気あふれる独特の空間となっています。無名ながらも才能のあるアーティストが多く集まり、この芸術村での制作活動が認められ、世界的にも有名になった芸術家も多いそうです。世界へのアート発信基地となっていますとも案内には書いてありました。ロンドンなどのソーフォー地区に似ているようですが、日本にはこのような場所はない。あえて言えば芸大のキャンパスや横浜の黄金町が似ているともいえますが、あまりにも小さい。

おしゃれなギャラリー

●798時態空間は自由な芸術村のシンボル
 代表的な建物に、「798時態空間」と呼ばれるスペースがあります。巨大なアーチに支えられた大きな屋根、その打ち放しコンクリートに赤い文字で書かれた革命時代のスローガンがそのまま残っていて、その下では即興的にパフォーマンスが披露されたりしています。ここでは、「798芸術区」がいかに自由で特徴のあるもの街であることを十分体験できます。全く異なるものが、「実に奇妙に共存している不思議」が存在しています。

巨大なアーチに支えられた大きな屋根のある「798時態空間」

 集まってくる人も多くなり、当初と比べると家賃は一ケタ近く上昇してしまい、低家賃で創作の場を求めるような環境では無くなってしまったと言われています。それでも、日本人のひがみでしょうか、そばを通り過ぎた汚い作業服姿の若者が「中国は産業だけでなく芸術でも世界一ですよ。」と言ったように聞こえたのですが・・・。

 

< 2012年7月5日 寄稿 >

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