旅行者の足としてのバス(TG)

 

井原バスターミナルに停まっていた井笠鉄道バスは、今では懐かしい床に床油(とこゆ)が塗ってある

 

 10月21日、私は急遽岡山県笠岡市に向かいました。

 その理由は、10月12日にいきなりの廃業を発表した井笠鉄道バスの状況をこの目で確かめたたったからです。この会社は、創業は1911年明治44に設立され、鉄道の開業は大正2年から始めて部分的な開業と廃止を繰り返し、1971年昭和46に鉄道事業から完全に撤退しました。

 残ったバス事業は、今まで40年以上ずっと鉄道会社の名前で営業されて来ています。周辺の下津井電鉄と鞆鉄道が鉄道事業を廃止した後も、鉄道会社の名前で営業を行っていますので、名称については特に不思議ではありません。

 

鉄道時代の名残のホームタイプのバス乗り場。頭が屋根の中にあり、雨や雪でも乗り降りの際に濡れない

 さて、この井笠鉄道は、特に近年、燃料費高騰して赤字続きでした。そして累積赤字が約36億円。それでも年間売上約9億円で頑張ってきましたが、いよいよ万策尽き、再建のめどが立たず、このほど廃業を発表しました。

 ところが、廃業の発表に至るまで、従業員はこのことを全く知らず、地元自治体も知らずにいたため、従業員はもとより利用者にも驚きがあるようです。創業100年を越えた企業がいとも簡単に倒産発表してしまったため、各方面から井笠鉄道に抗議が出ているようです。

 井笠鉄道としては、最後まで頑張ってみようと思ったのでしょうが、自治体等に一切相談も無いままの廃業発表は、私は現職のバス運転士ですから、ことさらに問題を感じています。従業員の給料は最近ようやく9月分が支給されたと言いますが、今月、10月分は、支給されるか微妙だと井笠鉄道バスの運転士さんが語っていました。そのためでしょう、今ではもう出社して来ない運転士もいて、当時は11月からの中国バスによる、代行バス運行に影響がないか心配がありました。

 今回は来年3月まで暫定的に、中国バスが井笠鉄道バスの車両と運転士による営業を続行しますが、ルートによっては、今の本数の1/3位に削減されたり、重複したりする路線の廃止を決定していて、全く影響が出ないとは言えません。

 本来なら、倒産した会社の車両等は差し押さえされてしまいますが、来月から来年3月末までは、井笠鉄道バスの車両使用料を払いながら運行を続けるという話しになっていて、その間に、中国バスを運営する両備グループの小嶋社長が、来年の3月までの利用実態や、自治体支援等によっては、新たに会社を設立しようとしています。

 私自身、鉄道が大好きなバス運転士ですので、あちこちの廃業寸前の路線を乗ってみました。10月20日、都内で旅ジャーナリスト会議の10月例会に出席、その足で横浜駅からサンライズに乗り、岡山駅に向かったあと、普通列車に乗り換え、山陽本線笠岡駅に7時29分に到着しました。

 次のような行程でまわりました。
 
  笠岡7:50―(3人580円)8:20
  井原8:40―9:10(14人580円)
  笠岡9:30―10:10(6人700円)
  矢掛10:30―10:45(7人440円)
  新山―井笠鉄道資料館見学
  新山11:45―12:10(7人400円)
  笠岡タクシー(1820円)で笠岡営業所見学
  笠岡営業所13:20―13:50(7人610円)
  福山14:15―15:00(6人610円)
  井原15:10―15:40(9人580円)笠岡
   (カッコ内は、私を含む乗車人数と運賃です)。
 
 次回に矢掛駅を紹介します。

 

( 2012年11月27日寄稿 )

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