地歴と旅(KK)

 我が国の宿命でもある地すべり、全国には1万ヶ所もあると言われる。

 新潟県上越市板倉区は越後国の豪雪地帯、今冬、積雪の山が地すべりを起こし全国にTV放映されたことは記憶に新しい。

 上越市板倉区(旧中頸城(くびき)郡板倉町)は、市の南東部、長野県飯山市に接し、関川の支流、大熊川、別所川の流域にある。南部は黒倉山を主峰とする山地。県史によれば、平安期は板倉郷で越後国頸城郡十郷の一つであり、高山寺本には「坂倉」、東急本は「板倉」で、いずれも「以多久良」の訓を付し、現在の板倉町付近とされる。

 河川の他、元禄5年に着手し天明元年完成した、長さ25kmの上江田用水。寛文年間に着手し延宝6年完成した、長さ28kmの中江田用水。この二大用水が水田を潤し、越後を代表する穀倉地帯の一つに育てた。昭和2年2月、大熊川沿いの柄山付近で積雪日本一の、8.18mを記録した。

<  命の地すべり地帯 >
 今冬、雪とともに地すべりを起こした生々しい光景がTV放映された。立木と土と雪が同時に麓の民家方向に崩れる様子に固唾を呑んだ。

 今回、雪解けした現場を見て、規模の大きさに驚かされた。道路はまだ通行止めで、付近は立入り禁止となっている。工事現場で話を聞くことが出来た。

 「頂上からの雪と土、立ったまま落ちる立木の津波は、あらかじめ防災用として道路際に置いてあったテトラポットで止まってくれた。流れは左方向に転換したので、民家の被害は最小限に食い止められた」とのことであった。過去の経験から地すべり対策がされていた結果といえる。

 

今冬 地すべりした地の雪解けした現場

 

今冬 地すべりした地の雪解けした現場

 

 昭和35年に発生した「猿供養寺地すべり」は有名で、地すべり資料館から南に約14km、長さ1.5km、高低差約26m、面積約24haとなっている。新第三紀中新世の黒岩泥岩(新潟県下の地すべり地帯に広く分布)で、宿命の地質だと言われる。

< 地すべり資料館 >
 地すべりの映像メディア、模型、パソコンゲ―ムなどを通して、歴史、災害、防止工事などを判りやすく、楽しく学ぶことができる。小・中学校の課外授業に混じり観光客も多い。

 

地すべり資料館

 

 

 隣地には「人柱供養塔」がある。昔この村を訪れた僧が、地すべりに悩む村人の話を聞き、自らが人柱となって地すべりを止めたという伝説である。昭和12年、土中から座禅僧の人骨が発見され、伝説が事実として証明されたのだという。

 

人柱供養堂

 

< 2012年10月10日 寄稿 >

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