海外ほっつき歩き(KG)

 

数えてみると、スイスへは1970年から30回以上旅をしたことになる。

この数年は荘厳な雪山を仰ぐ海抜1600mの村に連泊することにしているが、ひとたび下界へ降りると、人々の思わぬ営みを目にする。それは私が発見した私なりの旅の楽しみに過ぎないが、果たして「こりゃ、面白い!」と言っていただけるだろうか。

 

  ( どうぞごゆるりと )

 

ボーデン湖は南岸をスイス、北岸をドイツ、東岸をオーストリアの3カ国に囲まれていて、どの湖畔にもリゾートが点在する。そのひとつ、スイス側のアーボーン(Arborn )はローマ時代の住居遺跡が発掘されるなど古い歴史を誇る港町である。湖沿いに幅広い遊歩道が延び、湖の展望を売り物にするカフェや小さなホテルがある。そのひとつ、広いオープン・カフェを備えたホテルの入り口で見た奇抜なエクステリア。

「当ホテルで安らかな眠りを!」

 

リヒテンシュタインの南、ダボスへ行く途中にあるマランツ(Malanz)の村に素晴らしいレストランがあると友人に誘われ、秋の一日を過ごした。南面の斜面にはブドウがたわわに実り、その脇を登る道はきつかった。ふと花を飾った家の壁に小さな穴と3階まで登る小さな梯子が見えた。これは人さまのための非常階段ではなく、ネコのための通用階段に違いない。

 

チューリヒから南へ列車で30分、ツーク(Zug)は同名の湖に面した古い街である。その一画に古民家が文字通りひしめく町並みがあり郷愁を誘う。町中の鐘楼へ登れば湖の向こうにスイス・アルプスの山並みも見渡せる。古い街の玄関に似つかわしくないモダンな造りの駅舎に店が数軒ある。その中の一つ、これは寿司屋の広告。プラットホームで見つけた。Rice を思いついたのがスイス人か日本人か――。思わず苦笑した。

いまスイスでは寿司が大はやり。客寄せになるのだろうか、店の入口に海苔巻きなどを並べるスーパーもあった。

 

首都ベルン(Bern)の国会議事堂前の広場は朝方(曜日に応じて)マーケット広場になり、毎日夕刻になると広場いっぱいレストランの客席で埋まる。国会議事堂前でピッツァや焼きソバを食べることが許される国がほかにあるだろうか。何せ大統領が自転車でこの議事堂へ通ったこともあるお国柄である。

 

最後に新しいスイスのお土産。

アルプス景観の素晴らしさは写真集を始め、絵葉書やパノラマ画、さらに立体模型となって土産物店に並んでいるが、これは「パノラマ・ナイフ」という異色の土産。山並みのシルエットが忠実に削り出され、それぞれの名称と標高が刻み込まれている。パンやチーズを切るなら、これで十分であろう。アルプスはスイス最大の観光資源であり、帰宅して、なおスイスの思い出を楽しむためのお土産が次々生み出されているようだ。

 

( 2014年10月11日寄稿 )

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