フィンランド紀行 <後編> 『ヘルシンキ』への旅  by 大和 竜樹

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 2012年の元旦はヘルシンキで迎えた。路面電車が走る中心地はコンパクトなので、500mほど歩くとバルト海の乙女像「ハヴィス・アマンダ」の噴水がある。さらに100mほど東に行くと、もうそこは海(エテラ港)だ。ヘルシンキの1月の日の出時間は9時20分頃であるが、10時半頃太陽が見えた。本日は1月1日(日)。初日の出だ。特に新年は祝わないらしく、なにもめでたい感じはしない。

 マーケット広場のスオメンリンナ島行きフェリー乗り場にてチケットを購入する。往復で5ユーロ(約500円)だった。約15分でスオメンリンナ島に到着。スオメンリンナ島はフィンランドの南海岸を守る要塞のある島で、スウェーデン・ロシア戦争、クリミア戦争、フィンランド国内戦争で重要な舞台となった、世界遺産である。島の中を歩くと、レンガや石積みの建物が保存されており、いたるところに大砲があった。

 15時30分ぐらいに日没となり、17時ごろ一旦ホテルに戻って夕食を食べに外出した。友人が行きたいお店があるということなので、おまかせしたら1時間も歩く羽目に。あとで地図を見たらホテルから300mほどの距離で、帰りは5分で帰ることができた。ショートカットしようとしたら逆に遠くへ行ってしまったそうだ。まあ、よく到着できたものだ。目的地は「チェトル」というお店。店内は映画「レニングラード・カウボーイズ」で有名なサッケ・ヤルヴェンバーが設計しており、とても楽しい。メニューはフィンランド語、英語、ロシア語、日本語、などなど言語ごとのページになっていて、大変わかりやすい。しかし、やっぱりヨーロッパ。量が多かった。

レストラン・チェトルの店内

 翌日2日(月)、1969年に完成した「テンペリアウキオ教会」に行った。別名ロックチャーチと呼ばれるように、岩を自然な形に保った設計の教会である。ちなみに見ることはできないが、地下は核シェルターになっている。

地下は核シェルターのテンペリアウキオ教会

 ホテルからタクシーに乗ってヘルシンキ・ヴァンター国際空港に向かう。空港の中にはムーミンショップがあった。ムーミンはフィンランド出身なのだ。

 15時15分にヘルシンキを離陸するはずだったが、雪があっと言う間に積もって、滑走路が混乱。飛行機にも雪が積もり人力で液体をかけて雪を溶かし、1時間遅れて離陸した。

 フィンランドは親日の国と言われている。そのせいか人通りの少ないところですれ違うと、「ハロー」とみんな声をかけてくれた。スウェーデンに約650年、ロシアに約100年支配されてきたフィンランドは、日本が日露戦争でロシアに勝ったことを大変喜んだという話も聞く。そして1917年、フィンランドはロシアから独立を勝ち取った。しかし、かつての支配者であり核保有国であるロシアが真横におり、またいつ攻めてくるかわからない恐怖からか教会にも核シェルターを持っているのが、日本とは平和に対する考え方がずいぶん違うものだと考えさせられた旅だった。

 

( 2012年5月12日 寄稿 )