鬼首温泉郷の地熱発電所を考える  by 菊地 正浩記

NO IMAGE

 
 

宮城県玉造郡鳴子町鬼首(おにこうべ)は、鳴子温泉の北域で秋田県境に近い。
 
 那須火山帯の栗駒火山群鬼首火山に属し、その外輪山麓に展開する広大な段丘高原上に発達した環状盆地にある。これに沿って流れる荒雄川(江合川)が、ほぼ円形に近い流形で中央火口丘の荒雄岳を囲み自然が保存されている。

鳴子ダム

 

地名は坂上田村麻呂が陸奥蝦夷征伐の際、蝦夷首領大武丸を切った時、その首がこの地に落ちたという伝説による。(宮城県地名考)しかし、本来は鬼切部(おにきりべ)と呼ばれていたものの訛りと思われている。鬼切部は平安後期、奥六郷の安倍頼時と陸奥大将藤原登任の大戦があった古戦場(陸奥話記)。その安倍館が鬼切部館、鬼城と呼ばれ古塁跡を残している。源義経の東北逃亡にも出てくる。
 
 温泉は広範囲に湧出、国道R108号に沿った高原と山谷に点在する。栗駒国定公園地域内で標高269~320mに位置。鬼首温泉郷のうち荒雄温泉が最も古く、天正14年(1587)の開湯とされ、村の入口として栄えた。他に、吹上温泉、神滝温泉、轟温泉、宮沢温泉、玉造温泉、川渡温泉などがある。

鬼首温泉の間欠泉
鬼首温泉の間欠泉
露天風呂
露天風呂

○鬼首地熱発電所
 北域にある鬼首峠は東日本大震災の地震によって通行止となっている。
 
 地熱発電所は鬼首温泉郷の手前を山道に入る。片山地獄のある片山峠へと向うが、狭隘で未舗装、轍のできたガタガタ道を登る。時速10km位のスピードで慎重な運転が必要である。昼間でも薄暗く行き交う車や人もない。
 
 やっとの思いで訪ねたのにゲートは締められ中に入れない。勿論、PR館も休館中である。さかんに工事をしている様子だけが見える。
 
 国定公園であること、硫化水素ガスに注意の看板が何故か気をひく地熱発電所である。

電源開発㈱による事業、昭和50年3月開始、発電出力12500kw
生産井掘削中
発電所と奥に熱水冷却塔が見える
国定公園と硫化水素ガスに注意の看板
硫化水素ガス噴出現場

 

 

( 2015年2月6日寄稿 )