安くて安全な高速ツアーバスは「新高速乗合バス制度」に移行できるのか②  by 多賀 泰彦

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 ●高速ツアーバス業界の自主的努力にも期待したい

 7月19日付の日本経済新聞の一面トップ記事によれば、今回の安全規制強化で、ツアーバス事業から撤退したバス運行会社が100社にも上るという。しかも8割強もの運行会社が法令違反していたという。少人数で経営しているような運行バス会社が規制強化で対応が取れないというだけで、結果として排除されることになるとすれば、いったい今まで国交省は何をしてきたのかという声が上がってもおかしくはない。

日本経済新聞(7月19日付一面)などで高速ツアーバスの記事を大きく報道

 7月下旬に、新しくスタートする高速バスの新制度「新高速乗合バス制度」は、従来の高速乗合バス(路線バス)と高速ツアーバスを制度として一本化し、高速ツアーバス運行委託の孫請け(再委託)を禁止し、一年以内に高速ツアーバスはバス停の設置などが義務付けられ、バス旅行会社にも高速路線バス事業者としての許可を取らせる方向にもっていくという。また、高速乗合(路線)バスも運行を下請け運行バス会社に委託できるなど緩和し、サービスの向上とバスの運賃の値下げを可能にするという。

 高速ツアーバスは、年間600万人もの乗客があり、マスコミにも大きく扱われ、日経トレンディ8月号など雑誌の記事にもなっている。

日経トレンディ誌の表紙

 

日経トレンディ8月号でも高速ツアーバスの利用の仕方を大きく紹介

  この「安くて安全な」をうたっている高速ツアーバスの行く末と、高速ツアーバス連絡協議会などの業界の自主的努力を、今後とも注視していきたい。 

( 2012年8月6日 寄稿 )