茶の間でアラビアの砂漠を再現-「砂の詩(うた)」  by 森田 芳夫

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U.A.E(アラブ首長国連邦)はアラビア半島の北岸を占める世界有数の石油産出国。

 

かつてここには多くの日本人(石油)技術者が駐在していました。姪の夫もその一人、初めは家族で、後に単身で首都のあるアブ-ダビに住んでいましたが、今は都近郊に居を構えています。この二人から17年前に贈られたのが、このユニークな「砂の詩(うた)」です。

 

堅牢な外箱の表

 

 

その仕掛けは色の違う7首長国の砂を奥から少しずつ量を減らして箱に納め、6枚に仕切ったガラスで分離して重ねたものに過ぎません。縦横24cmの箱を両手で揺り動かせば、常に奥行きのあるさまざまな景観が出現します。

 

 

 

一見シンプルに見える仕組みですが、立てかけても砂が流れ落ちずにガラスに固着しているのが実に不思議です。このあたりに特許の秘密がありそうです。

 

 

 

以来、私は居間に座りながら、時おり遠いアラビアの自然に思いを馳せています。作り出す景観には何一つとして同じものがありません。

 

 

 

 

発明者はアブ-ダビ駐在の石油技術者、臼井信胤さん。箱に添えられた解説書によれば1972年に赴任し、休みには砂漠旅行に出かけては記念にしたいと「砂漠の砂」を小瓶に詰めて持ち帰ったとのことです。そしてこれらの砂を保管したいと思ったことが発明のきっかけだったそうです。

 

外箱の裏には発明者、臼井さんのサインがあります

 

 

類似品もあるようですが、右下の金のメダルが純正品の証しだそうです。
自然の砂を使用するため制作個数に制限があると解説書の最後に書かれています。

 

( 2013年8月22日 寄稿 )