東京スカイツリーが二本?  by 菊地 正浩

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東京都墨田区向島一丁目(旧向島区向島町1)に隅田公園がある。墨田区だから墨田公園だと思うが、隅田公園である。隅田川の言問橋を渡ると対岸に台東区の隅田公園がある。こちらも浅草公園とか台東公園とは言わない。墨田区隅田公園のはずれに牛嶋神社がある。下町の人ならば知らない人はいない。ここに、撫牛が鎮座ましましている。撫牛の風習は江戸時代がはじまりと言われ、自分の身体が悪い部分をなでてから、牛の同じところをなでると病気が治るという。撫牛は文政8年(1825)頃、奉納されたもので、それ以前は牛型の石であったという。

撫牛信仰はほかにもあるが、古くは今から400年以上も前のことになる。福島県会津地方の柳津町にある、福満寺虚空尊園蔵寺に伝わる赤牛「赤べこ伝説」がよく知られている。園蔵寺境内にある「開運撫牛」が歴史を物語っている。

園蔵寺 勇壮な裸祭りは有名でテレビ放映される

 

開運撫牛

 

 

 

東京スカイツリーが完成してから、写真愛好家などが色々なスポットを探しては得意気に紹介している。下町生まれで下町育ちの筆者が、お祭りあらしをしていた頃に牛嶋神社を知った。浅草から言問橋を渡り隅田公園を散策する途中で、牛嶋神社を素通りするわけにもいかない。お参りしてから隅田公園を抜けるのに、撫牛の前を通る。脇には氏子が奉納した大きな石碑が立つ。そこに立つと東京スカイツリーが写っている。

但し条件がある。よく晴れていること、柳橋方面からの西日が当たる夕方に近い時間帯である。多くの人が牛嶋神社を訪れて、境内から見える東京スカイツリーを撮影している。

筆者は携帯で撮っている女性にだけそっと教えている。

牛嶋神社

 

撫牛

 

二本の東京スカイツリー 撫牛の脇にある石碑に

 

 

 

(  2013年12月1日寄稿 )