旅ジャーナリスト会議による和紙の里取材旅  by 菊地 正浩

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 ~小川町細川紙 ユネスコ無形文化遺産登録記念事業に
紙(かみ)衣(こ)による初のファッションショー開催~

 

紙衣(又は紙子)は修行僧の衣料として使われ千年以上の歴史がある。中世には武士の裃(かみしも)、胴服や豊臣秀吉も朱色の派手な陣羽織を好んだ。江戸期には俳人、茶人、粋人達や一般の人々にも普及した。天平時代から続く奈良のお水取り着衣には欠かせない。雨露を防ぎ丈夫で軽く耐寒性に優れ幅広く利用されてきた。ペリー来航時にも、日本は木と竹と紙の文化であると紹介された。

 

この度、ユネスコ無形文化遺産登録記念事業・「細川紙の世界」で、世界初の紙衣によるファッションショーが開催され、多くの来場者の目を集めた。

 

紙衣のファッションショー

 

○旅ジャーナリスト会議による取材旅

2015年(平成27年)2月11日(祝日)、旅ジャーナリスト会議有志で小川町の紙里を取材。ユネスコ無形文化遺産を見聞し、紙里である日本の原風景と伝統工芸技術の伝承を探る目的で行った。

 

東武東上線池袋発急行8時52分、小川町駅着9時53分に各々が乗車。到着後、駅前の観光案内所で情報を入手、市内循環バスに乗車し埼玉伝統工芸会館を訪問。楮、トロロアオイが原料になるまでの工程から手漉きによる和紙作成の実演、体験などを学習。手漉き技術による細川紙の製品をはじめとする数々の和紙製品にふれることが出来た。

 

集合写真 埼玉伝統工芸館前にて

併設の「道の駅おがわまち」では、豊富な地元の野菜、果物などを購入。いまでは数少なくなったこの地方の伝統工芸品、竹細工が並んでいるのが目を引いた。

手漉き和紙体験学習
作業風景 
展示
華やかな和紙製品

 

道の駅おがわまち
道の駅おがわまち

昼食は「女郎うなぎ割烹福原」で名物「うな重」を食べ、至近の小川町民会館「リリックおがわ」に移動した。

 

 

○「細川紙の世界」へ報道関係者として参加

小川町、東秩父村、各々の教育委員会が主催、後援にはNHKをはじめ殆どのマスコミが名を連ねる盛大さで、町をあげての一大イベントであった。

事業は埼玉県、同教育委員会も後援し埼玉県ふるさと創造資金を活用する熱の入れようである。平成25年度文化庁工芸技術記録映画「細川紙」の上映につづき、文化遺産登録に携わってきた文化庁の「期待される細川紙」という記念講演が行われた。

アトラクションの「細川紙を使った紙衣ファッションショー」は多くのモデルが、色艶やかな紙衣を着こなして披露、満員の観衆を魅了した。全国を巡り手漉き和紙に関する取材を行なってきたが、この種ファッションショーが開催されたという記憶はない。

 

文化遺産登録により観光客が1.5培になったという。しかし、消滅可能性自治体が発表され、埼玉県では小川町、東秩父村も入っている。細川紙の技術継承、伝習、育成と併せ今後の対応が注目される。紙里が抱える諸問題は小川町・東秩父村の細川紙だけではない。これらについては次の機会に譲りたいと思う。

 
 

<旅ジャーナリスト会議の参加者>

  荒木 啓幸、有田 慎二、伊藤 茂子、小川 金治、菊地 正浩、

  小暮 幹雄、多賀 泰彦、辻濱 文子、弘実 和昭、森田 芳夫、

  ゲスト:小澤 満枝さん、花輪 繁廣さん     計12名

 

 

( 2015年3月26日寄稿 )