東伊豆町(稲取)の風力発電3

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○まとめ
伊豆半島に限らず観光地への風力発電、とくに多数林立するウインドファーム(風車牧場)建設は慎重であって欲しい。すでに南伊豆町にも1基設置されているが、景勝地石廊崎にも計画されているという。南アルプスの眺望できる長野県伊那市では、市長の勇断により反対を表明された。このたびの伊豆半島ではどうしたのであろうか。町長自らが建設を推進しているという。地元の人が反対するのは当然のこととして、静岡県観光協会、東伊豆町、北川、熱川、片瀬、稲取温泉観光協会、自然保護や野鳥関係などはどのように考えているのであろうか。また、行政・事業者・地元住民は勿論、経済産業省(資源エネルギー庁)、観光の国土交通省、自然保護や騒音の環境省、公害問題の厚生労働省などや産業界など各界有識者、学識経験者によるシンポジウムを開催して、目に見える是非論の展開をするべきではなかろうか。そのうえでの建設推進・反対論と言えるのではないだろうか。
旅ジャーナリストからすれば観光資源を護り、観光振興を図る立場にある。ましてや我が国は観光立国を宣言して、2010年には外国人観光客1000万人招致を国策としている。このため観光庁の新設まで検討しているという。今や流れは、持てる自然観光資源をいかに護っていくか、各地では世界遺産登録をめざしている時代である。クリーンな新エネルギー推進という錦の御旗を掲げ、観光振興に反し伊豆の宝を未来に残すことができなくなる恐れがあるので、筆者としては反対の立場をとらざるを得ないであろう。独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(通称NEDO)は新エネルギー導入促進事業2007により、いろいろな導入の手伝いをしている。もとより筆者とてなんでも反対するわけではない。地球温暖化対策に基く新エネルギー風力発電の意味するところは充分承知している。その上でなおかつ国立公園伊豆半島でよいのですか、と是非を問いたいのである。オオタカよこれからも東伊豆に集結し、台湾に飛び続けろ。こう願うのは筆者だけであろうか。
おしまい
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波崎ウィンドファーム(株) 平成16年3月竣工 12基 高さ:64.5m プロペラ直径62m ドイツ製
茨城県神栖9基・波崎20基・千葉県銚子29基。犬吠埼を中心に、利根川をはさんで約60基のウィンドファームは日本一の規模を誇る。
写真左は波崎、写真中央は銚子港、写真右は九十九里屏風ヶ浦の景勝地
コラム  風力発電について
1990年代から地球温暖化問題に伴って各国で風力発電の導入が盛んになった。ドイツ、スペイン、アメリカ、インド、デンマークなどを中心に6000万kwを超えている。いまや世界の風力発電設備は原発60基分にも相当するといわれている。クリーンエネルギーに対する意識とヨーロッパという地理的条件にもより、導入が盛んであったが自然環境保護や騒音などの人的公害を重視して、現在の設置基準は厳しく制限されたものとなっている。日本でも、1990年代後半から急速に増え、2006年6月現在での設備要領は120万kwを超え、ジャンボジェット機の翼幅と同程度の直径60mを超える巨大風車が、1000基以上も回っていることになる。風車にも種類があるが、大型発電用には水平軸のプロペラ型である。このような風車を風の強い場所に集中的に設置することからウインドファーム(風車牧場)と呼ばれる。導入以来全国各地でいろいろ問題も発生していることは事実である。我が国は山岳丘陵地が多く、陸上での風車設置の適地が限られているので、今後は3万㎞を超えるといわれる長い海岸線の沿岸を利用して、洋上風力発電を展開することが予想されている(日本国際地図学会シンポジウムより)。
投稿者:菊地正浩
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