『風林火山』最終回「決戦川中島」

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1年間長いようで短かったNHK大河ドラマ『風林火山』も今回が最終回。
いつもの45分でなく、56分という特別編にさすがの川中島合戦も時間延ばしに苦戦が見られます。いきなり脈絡もなく、三条夫人が於琴姫に会いに行き、「三人目です」と語っていたり、大井夫人や板垣・甘利が回想で出てきたりで時間稼ぎもいいところです。
勘助は由布姫の亡霊が止めるにも聞かず、いきなり本陣に突進し、宇佐美と一騎討ち。宇佐美は「共倒れになる陣をひけ」といいますが、これは同じNHKの「その時歴史が動いた~川中島の戦い 引き分けの謎」(2006年7月18日放送)で、川中島の戦いは実はパフォーマンスで、合戦が偶発的に起こったという説を採用しているのでしょうか。で、一番肝心の謙信(政虎)と信玄の一騎討ちシーンはどっちらけ。馬上から三度斬りつけて信玄が受け止めた軍配に7つの刀傷が残った「三太刀七太刀」のシーンは、馬上からGackt政虎がアップで斬りつけるシーンだけで迫力も何もない。やはり馬で三度行ったり来たりのシーンでなければどうしようもないでしょう。おまけに信玄は顔に傷すら負っていないし、尻を槍で突かれた馬も血すら出ていない。
で、肝心の勘助のほうは不死身のゾンビぶりを発揮するのはお約束ですが、刀で斬られても矢が刺さっても、鉄砲で撃たれてもなぜか血が出ません。これは鎌で斬られても相手から血が出ない大仁田劇場ですか? NHKが血を自粛したのかどうか分かりませんが、これでは迫力も半減するだけで、「終わり悪ければすべて悪し」のような結末となってしまいました。
平蔵もいきなりどこから飛んできたか分からない矢に刺さり、しかもそこで死んだかと思えば再び蘇生して歩いている。あんたは顔に矢を受けても歩く『三国志』の麋芳ですか。そして伝兵衛が勘助の勘助の胴体を運び、太吉が勘助の首を取り戻してくる。胴体はともかく、いったい首はどうやって取り戻してきたのでしょうかねー。で、肝心の首は映らないくせに、信玄が「クビが笑っている」とか云ってるし、どうにかならんかね。そんなに気持ち悪いシーン見せたくないなら、もう戦国ドラマなんて止めなされといいたくなりました。
で、「最後に生きて愛して散っていった」というナレーションがあり、ミツの声がしてです。ミツ役の貫地谷しほりさんのほうは現在朝の連ドラ『ちりとてちん』でヒロインを演じていますが、こちらも視聴率が苦戦していると聞きます。朝の連ドラなんて観ませんが、NHKの番組自体「冬の時代」を迎えているのでしょう。
最終回の史跡紀行では、川中島にある山本勘助の墓や武田家終焉の地である山梨県甲州市の景徳院などを紹介。なんで史跡紀行で「武田家のその後」をあんなすっ飛ばし方で紹介するのか、よく分かりません。景徳院の最寄り甲斐大和駅は第31回で紹介しましたので、最後はJR信越本線の川中島駅で締めくくりましょう。ただし、駅名は川中島でも、古戦場(八幡原史跡公園)までは東へ4kmと遠く、当駅からはバスの便もありません。古戦場へのバスは長野駅からの発着です。こちらを利用しましょう(でもスタンプは押そう!)
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あとがきにかえて
1年間愛読ありがとうございました。以上をもちましてNHK大河ドラマ『風林火山』のブログは終わりです。総集編は12月31日に風の巻(13:55~14:53)、 林の巻(15:00~15:58) 、火の巻(16:00~16:58) 、山の巻(17:00~17:58)の4部構成で行われますが、たぶん当日はタイムリーで見ることもないでしょう(ビデオで保存しようと思いますが……)。なお、1年分の『風林火山』はカテゴリーにて総集で読むことができます。
最後にあと少しだけお付き合い願います。管理人がこのNHK大河ドラマの批評を当ブログで書こうと触発されたのは、先にあった橋場先生かわい先生をはじめとする歴史作家先生方のブログでした。途中から毎回トラックバックを貼らせていただいたのは、やはりドラマを観るにしてもそれぞれの感じ方は違うし、実際に歴史を研究されている先生方のコメントはいろいろと参考になったからです。ただ、このブログを書くにしても先にはじめたshugoroの日記は、土日に中央競馬の予想(全然当たらないので有名ですが……)をしているので、当旅じゃブログの開設と同時にスタートに至ったわけです。当初目標としました毎日更新は途中で挫折してしまったものの、この存在が最低週1の更新を維持できたのはいうまでもありません(ただしshugoroの日記のほうはずっと続いています)
当社でも歴史紀行シリーズとして『宮本武蔵』『新選組』と連続して本を作ってきましたが、別のところからの嫌がらせもあって、このあとのNHK大河ドラマで歴史紀行シリーズが制作できなくなっておりました。そういう意味で2006年11月発行の『風林火山をゆく』(英知出版)は実に3年ぶりの制作に至ったわけです。1カ月後に重版の勢いをみせた同書ですが、その後2007年3月に肝心の版元が倒産の憂き目にあってしまい、1年間の販売実績の数字をみることなく終わってしまいました。大量に注文してくださった取材先の方々にも申し訳ない気持ちでいっぱいです。ただ、まだAmazonを見ると、まだ在庫は購入可能ですので、大河ドラマが終われば一気に客足も遠のき、本も処分されてしまうであろう同書を買うなら今がチャンスです。倒産した版元ということもあってプレミアがつくかもしれません。
これで大河ドラマの史跡紀行シリーズも終わってしまうと思いましたが、幸いにも来年の大河ドラマ『篤姫』は新しいスポンサーの版元が見つかり、四條たか子先生の執筆で『天璋院篤姫と幕末を旅する』(一水社)が11月30日に発行となりました(詳細は後日ということで)。『風林火山』終了後、次の『篤姫』の一部紹介がありましたが、これも苦戦が予想される番組にしろ、また来年も他の歴史作家先生同様にコメントを描き続けられればと思います。
すでに僕のほうは再来年のNHK大河ドラマ『天地人』に目が向いておりますが……。
投稿者:管理人
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