南イタリア旅行ホテル騒動記(その2)  by  弘實和昭

NO IMAGE

 

ナポリ近郊の観光を済ませ、プーリア州に散在する珠玉の集落群アルベロベッロやマテーラを見るべくバスでバーリへ向かう。所要時間は3時間。風力発電の風車が林立するオリーブ畑の中をひた走るのだが、このバスが一日に3便しかない。切符を手に入れ、バス停を探し、目的のバスを見つけ出すのも一苦労する。ここが今回の旅行での最大の難所である。

オリーブ畑に林立する風力発電

8千円の往復切符を買ってバスに乗り込んだ。トイレが付いているバスでまずは一安心。ちなみに、帰りのバスにはトイレがありませんでしたが、途中でトイレ休憩がありました。さらに、帰りのバスは、降りた位置と異なるバス停から出発したため、そのことに気付かなかった私たちは乗り損ねてしまい、買っていた指定券が無効になり、一人4千円で再度切符を購入する破目になってしまいました。長距離バスは安くて便利だが、乗り方が難しい場合が多いのです。

 

バーリは、鉄道やバス、フェリーなどの南イタリアの交通の拠点。ここから電車で移動して村落を見て回ることにした。そのためホテルも利便性の良い駅前に予約している。

 

バスを降り、バーリ駅の地下道をくぐり抜けてホテルに向かった。もちろん地図上での位置も住所もしっかりと調べてある。番地を一つ一つ確認して、「このビルだ。雑居ビルのホテルにはもう驚かないよね。」と妻の顔を伺いながらビルの表札を見る。各階のテナントの名前が書いてある案内板の中を探すのだが、ホテルの名前が読み取れない。エントランスの入口には鍵が掛かっていて中に入ることも出来ない。呆然としていると、隣のビルの一階のお店の主人らしき男が出てきたので、予約のプリントに書いてあるホテルの名前を見せ、知っているかと訊ねると、首を横に振り「知らない。」と素気ない返事が返ってくる。

バーリのホテル入り口

すかさず妻は、「なんでこんなホテル選んだのよ。ほんとに、いい加減にしてよね。」

 

私は、「ネットで写真を見たらきれいな内装だったし、ジェットバスがついているし、値段も1万5千円で手頃だし・・・」元気なく話すことしか出来ない。

 

近くに、HOTELと大きな看板を掲げ、道路からロビーが見える立派なホテルがあった。入って、カウンターの女性にこのホテルを知っているかと予約プリントを見せて尋ねてみる。「ああ、これはホテルではないわ。B&Bがあるみたいですね。」気の毒そうな表情をして教えてくれた。

 

「このホテルに泊まりましょう。」という女房の命令には逆らえないものの、「予約してあるし、キャンセルは利かないよ。」と弱々しく答える。

 

気合を入れ直し、再度予約していたホテルのビルの前に行く。たまたまビルから出てきた人がいて、尋ねてみると7階がそのホテルのようであった。今度はドアも開いていたので建物の中に入ることが出来た。エレベーターに乗り7階へ上る。部屋のドアの横に小さなプレートが張ってあって、そこにホテルの名前が書いてあった。部屋のドアには鍵がかかっている。呼び鈴が付いていて何度も押すのだが誰も出て来ない。最後には隣の部屋のドアが開き、そこの住人が半分顔を出して怪訝そうにこちらを見つめる。

 

「こりゃだめだ。」結局あきらめて、先ほどの立派なホテルに戻りそこに泊まることにした。その後、予約のプリントに旅行代理店の電話番号が書いてあったので電話をしてみた。社員が日本語で対応してくれた。「調べてみます。」しばらくしての折り返しの電話で「いま係員がそちらに向かっています。」とのこと。誰もいなかったのは事前に知らせたチェックインの時間より3時間ほど早く着いてしまったためであったとか。どうやらアパートの空き部屋を利用した一部屋だけのB&Bらしい。初めての経験でもあり、立派なホテルの方にチェックインも済ませていたので結局キャンセルにした。旅行代理店は「キャンセル料の請求が行きます。ご了解下さい。」と慇懃なるご返事。「なぜ、係員がいないことを事前に伝えてくれないのですか。到着時間なんか事情によってすぐ変わってしまいますよ。第一ホームページの案内にチェックインの仕方を表示するべきです。キャンセル料など了解したくありません。」と苦情を言うが、「このようなホテルはアパートメントホテルと言いまして、ヨーロッパには結構多いですよ。」と冷たく突き放されてしまった。

 

 

その後ナポリへ帰るのだが、最後の2日を予約していた1泊1万円の格安ホテルもドタキャンした。少しやけぎみになって、サンタルチアにある1泊3万円超の高級ホテルに2連泊して旅行を終えました。海外旅行では、旅行中のトラブルも楽しみの一つだと考えている私ですが、ホテルはガイドブックに書いてあるものが無難なようですね。

( 2015年2月11日寄稿 )

(その1)はこちらから → http://tabija.com/south_italy_v1