滋賀県・長浜市を訪ねて(その3)  by 有田 慎二

NO IMAGE

―前回の記事に続きます―

 

☆ 「曳山博物館」で「曳山まつり」(4月13日~16日)のお勉強

 

焼鯖そうめんで腹ごしらえを済ませたら、次は「曳山博物館」の見学。長浜市では毎年4月の13日から16日まで、「曳山まつり」が開催されており、平成28年秋にはユネスコ無形文化遺産にも登録されている。

 

かの豊臣秀吉が長浜城主だった時代にはじまったとされる「曳山まつり」は、男子誕生の祝いとして秀吉公から砂金を与えられた町衆が、それをもとに曳山(山車)を造つくり、秀吉公が再興した長濱八幡宮の祭礼で曳き回したことが起こり。4月9日の線香番を皮切りに、12日までの4日間は若衆による裸参り、13日の籤取り、14日の夕渡り、15日の歌舞伎奉納と続き、16日には各町で歌舞伎が披露され、17日の御幣返しで終わりを迎える。

 

そこで上演される歌舞伎の役者を、5歳から12歳までの男の子が務める、いわゆる“子ども歌舞伎”が長浜曳山まつりの最大の見どころ。春休みから稽古をはじめ、13日夜から4日間上演される子ども歌舞伎は、堂々とした中に可憐さを秘めた大人顔負けの熱演に大勢の見物客から拍手喝采、大変な熱気に包まれる。と、知ったようなことを述べているが、筆者は実際に行ったことはなく、資料をもとに書いたことをお断りしておく。

 

そんな「曳山まつり」のすべてを知ることができるのが、「曳山博物館」である。当館の最大の目玉は、やはり「曳山」だ。実際に祭りで使われる曳山が常時2台展示され、間近で見ることができる。その大きさと、見事な装飾品による豪華絢爛さは感動もの。普通の山車とは違い、“舞台”がしつらえてあるのが特徴で、ここで子ども歌舞伎が行われると思うと、なんだかワクワクしてくる。

 

「曳山博物館」には曳山の他にもさまざまな展示物があり、祭りのことだけでなく、長浜という街の歴史や風習なども知ることができる。「曳山まつり」の歴史は、長浜という街そのものの歴史。「曳山まつり」を知ることは、長浜の街をより深く理解することでもあるので、長浜市を訪ねた際には必須の立ち寄りスポットといえよう。

曳山博物館に展示されている曳山(山車)
曳山博物館に展示されている曳山(山車)
曳山博物館の内部。祝!ユネスコ無形文化財遺産登録決定!!
曳山博物館の内部。祝!ユネスコ無形文化財遺産登録決定!!

 

☆ 長浜のお土産は「黒壁ガラス」のひなまつり(~3月3日)

 

旅の最後は、「黒壁ガラス」でお土産の物色を。先ほども述べたが、この一角は「黒壁スクエア」といい、黒壁の名のついた建物があちこちにあるのだが、その中心が「黒壁ガラス」である。

 

「黒壁ガラス」をはじめ、いくつもの黒壁と名のつく建物を持ち、「黒壁スクエア」を形成しているのは、社名もそのまんま「黒壁」という会社で、長浜市観光の中心的存在なのだとか。「黒壁ガラス」では、ガラス工房で職人たちがグラスなどをつくっているところがガラス越し見える。それを見て、自分でもやってみたくなったら、別館に「黒壁体験教室」があり、そこで吹きガラス体験のほか、陶芸などさまざまな体験ができる。その他、お土産が各種揃う「黒壁AMISU」では地酒の試飲もできたりして、この「黒壁スクエア」だけでも1日楽しく過ごせそう。この辺りは観光客もたくさん来ていて、とても賑やかで、長浜市のランドマークといったところだろうか。

黒壁ガラスの内観。ガラス細工が店内を埋め尽くす
黒壁ガラスの内観。ガラス細工が店内を埋め尽くす

16

17 黒壁スクエア(黒壁ガラス館)の前にななめ前にある黒壁五號館

18

 

そんなこんなで、午前10時に到着し、午後5時ぐらいまで目いっぱい、長浜の街を楽しめた。訪ねたところのひとつ一つがどれも素晴らしかったのはもちろんだが、それだけでなく、長浜の街並みも気に入った。街の大きさもちょうどよくて、行きたいところを歩いて回れて、ただ歩くだけでも楽しめる街、それが長浜である。

 

今回でこのシリーズは終わりです。

( 2017年9月16日寄稿 )