ヨーロッパ心に残る町2

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カンデルシュテーク〔スイス〕
スイスの人気観光地で一番に上げられる地域と云えば、インターラーケンを中心に、アイガー、メンヒ、ユングフラウの3大名峰を望み、麓にツゥーン、ブリエンツの2つの湖が広がるベルナー・オーバーラントであろう。スイスの観光のすべてが、この地域に凝縮されていると言っても過言ではない。インターラーケンを起点に、登山鉄道が走る近辺の村は、日本ツーリストのメッカである。
カンデルシュテークは観光客の雑踏からはかけ離れた、このベルナーオーバーラント地域の西はずれ。ブリュームリスアルプスの2000mを越す山々に囲まれた谷間にある小さなリゾート村である。鉄道でベルンやインターラーケンからは約1時間、また、マッターホルンの山麓ツェルマットに行く、BVZ鉄道の出発駅ブリックへも、30分もかからぬ距離にあり、私のスイス観光はいつもこの町が拠点となる。スイス各地へ鉄道で移動する場合はとても便利な町で、列車が谷間を下り、車窓に写るのどかな町の風景は、心落ち着くスイス旅の故郷でもある。
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IC特急も停車する山合の小さな当駅の、裏の丘には牛たちが放牧され、列車の往来がない時は、山々の冷気の漂う静けさのなか、牛のカウベルの音だけが、谷間の風に乗せられながら響いている。私の常宿は、数軒ほどの商店が並ぶ駅前の静かな通りを5分ほど歩いた、小さな教会の隣に建つプチホテル。町はアルプスからの澄んだ雪解け水の、流れる音が響く小川に沿って、数軒のホテルと商店があるぐらいで、車の往来も少なく、辺りは牧歌的風景が広がる。
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このカンデルシュテーク一番の観光スポットにエッシネン湖がある。「アルプスの宝石」と言われ、むきだしの岩肌の山の下、流れ落ちる幾つもの滝や、天候により極端に変わる湖水の色は、実に神秘的だ。高台のレストハウスでくつろぎながら、表情を変える湖や、湖畔に放牧された牛たちの光景を眺めていると、緩やかに流れる至福の時を感じさせる。湖まではカンデルシュテークの駅からは、ホテルのある町並みを抜け、お花畑の広がる風景の中を、ゆっくりと散策しながら、約20分でリフト乗り場に着く。
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2人乗りのチェアリフトに乗ると、約10分で山頂に到着だ。このリフトからの移り変わる景色がまたすばらしい。眼下には放牧された牛たちが戯れ、周囲の山々を望めば、幾つもの滝が流れ落ちる雄大な大自然のロケーションで感動の連続だろう。リフトを降りると、広がる視界のなか、整備されたハイキングコースを、エッシネン湖に向かって歩く。途中で湖まで、林の中を抜けるコースと、牧草地を通るコースの2つの道に分かれるが、行きは放牧されている牛たちの中を歩き、山々をバックにツーショットも、楽しい思い出だ。

kandersteg-of-spring.jpg  私のお勧めのベストシーズンは初春。それも6月がよい。カンデルシュテークの町の周囲も、エッシネン湖のハイキングコースにも、可憐な花々が咲き揃い、牛たちが遊び、残雪を抱く山々の姿が、美しい絵の世界で迎えてくれるだろう。
パート3につづく

投稿者:にわあつし
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