「変」の後遺症を引きずるであろう不透明な年、2009年を迎えて

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明けましておめでとうございます。
 昨年の暮れ、世相を表す漢字に「変」が選ばれたとき、うまく言い当てているなと感じ入ったのは私だけではないでしょう。「百年に一度の世界恐慌」が引き金となり、旅の世界も今年は激変するのではないかと思われます。この2カ月ほど気になって考えていたいくつかを挙げて、皆さんに一緒にお考えいただきたいと思う次第です。
「観光立国日本」をめざして5年間をかけて準備し、昨年10月に誕生した「観光庁」の設立意図は、短期的に見ると全く時代に逆行する印象を与える結果となってしまいました。異常な円高から今年は来日観光客の激減が予想され、平成22年までに来日観光客を1000万人にする目標(平成18年/733万人)は危うく「画餅」となりそうです。このほか、同省の基本計画の中に「日本人の国内観光旅行による一人当たりの宿泊数を2.77泊(平成18年)を平成22年までに4泊にする」という具体的な数値目標がありますが、いつ底を打つかわからない経済不況の中ではとても国民の旅がやすやすとそうなるとは思えません。新年度にどのような施策を観光庁が打ち出し、実行していくのでしょうか。
 次に「新しい旅文化創造」を掲げて4月から朝日新聞社とJTBが業務提携するとの発表がありました。内容は新聞報道でしか知りえませんが、朝日が所有する旅行会社「朝日旅行」をJTBに譲り渡すが、その株式をなお朝日は33.4%を持ち「朝日はイベントやスポーツ事業の情報を提供をする」というものです。片やJTBは「朝日カルチャーセンター」に「JTBカルチャーサロン事業」を譲渡するとのことです。
 巨大マスメディアと強大旅行会社が提携するという、多分海外でも例をみない(少なくとも私は知らない)この組み合わせが、どのような旅を提案し、国民を巻き込んでいくか、読売新聞と旅行読売の関係とは比較にならない影響力を旅行業界に及ぼすと思われます。その展開を注目したいと思います。
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中央構造線博物館(大鹿村)の庭に表示された中央構造線の位置
 この数年間に「世界遺産の旅」など新しい旅の目的地が次々と生まれていますが、昨年12月8日、国内の7カ所が「日本ジオパーク」の指定を受け、新たな旅の目的地となる可能性を示しています。
「ジオパーク」はユネスコが支援する「地形や地層など特徴的な大地の構造が観察できる場」であり、自然遺産、文化遺産と対比されて「大地の遺産」と呼ばれいます。すでに世界に57ヵ所あり、今回の初指定はその日本版ということだそうです。
 南アルプス・中央構造線(長野県)、アポイ岳(北海道)などが挙げられていますが、ほかの5カ所は山陰、九州までに点在し指定されています。世界遺産と同様な新たな旅の目的地となることが期待できます。
 さて「旅ジャーナリスト会議」は、昨年はこの「旅じゃのブログ」の発信を始め、機関紙「トルヌス」・会員誌「旅行主義」の定期刊行、セミナー開催、月一回の例会とその改善を行ってきました。11月には「第24回トイレシンポジウム」の開催と実行に協力し、長野県伊那市の会場へ会員13名が駆けつけました。
 激動、激変の2009年、会員は一層足を地につけて、地道な活動を行い、旅にまつわる問題を結晶させ、問うていく所存です。
 このブログはもちろん、各分野での活動に幅広いご支援をくださるようお願いたします。
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断層のズレがはっきりと見える安康露頭に立つ(大鹿村)
2009年元旦 旅ジャーナリスト会議代表:森田芳夫
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