東の西陣・桐生織物

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●桐生市の足跡
 群馬県桐生市、地名は桐の木が繁茂していたことにちなむと言う。大正10年(1921)に市制。昭和8年(1933)境野(さかいの)村、同12年広沢村、同29年梅田、相生(あいおい)2村と川内村の一部、同34年栃木県足利郡菱(ひし)村編入、2005・6平成の大合併で新里村、黒保根村を合併して今日に至る。市街は渡良瀬川と支流の桐生川の間を南北に長く広がっている。南北朝時代(14世紀)の武士、桐生国綱(くにつな)が築城し城下町として発展した。16世紀になり桐生新町を建設し、絹織物、絹市場の町として栄え、我が国の織物産業史を代表する一つの町となる。江戸中期の元文3年(1738)に京都の西陣から染色、紗綾(さや)織技術が導入されてから大きく発展した。もちろん、周辺には桑の木栽培、養蚕、製糸の地帯を抱えていたことと、染色、洗浄に必要な水が桐生川であったことも欠かせない。江戸後期の最盛期には「西に西陣、東に桐生」とまで言われるようになった。白縮緬(ちりめん)、御召(おめし)、銘仙(めいせん)、帯地(おびじ)、刺繍物(ししゅうもの)などが有名である。一帯はノコギリ屋根で有名な織物工場のほか、製糸、染色、機織、倉庫などの近代建築物や織物産業関連施設が今なお多く残る。また、古代からの遺跡も多くあり見所のある産業遺産観光地である。なぜ産業遺産? 戦後の繊維不況は絹織物から機械工業都市に変わっていき、案外知られていないのがパチンコ産業である。大手メーカーが多く集まり、全国一のパチンコ都市とも言われている。
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●桐生地域のノコギリ屋根の特徴
 桐生のノコギリ屋根工場は、一つひとつが個性的で魅力的な建築物である。近代化建築の産物であり、桐生には染織業の建築物に多く使用され、現存する数は全国で最も多いと言われる。織っている生地の具合を見たり、織り上がった生地を点検したりするにも、北窓からの自然光が最適で、晴天、曇天に拘わらず光に影がなく一定しているからである。芸術家のアトリエなどで北窓が多いのもうなづける。
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●森秀織物参考館「紫(ゆかり)」
 この「紫」で桐生織物産業史が学べる。前述のノコギリ屋根の建物はもちろん、登録有形文化財指定の建物もある。明治から昭和にかけて使用された織機や道具、染色、古器具類や資料約1200点を展示している。
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 織物工程を一堂に展示しており、桐生の織物、染色などに関する学習の場である。単に見学するだけでなく専従の講師が教えてくれる。筆者が訪問した時も、市内の小学生が先生と父兄に引率されて体験学習をしていた。実際に織機に座り、絹の縦糸、横糸を操り布地にしていく体験をし、子どもたちは大いに感心し驚き喜んでいた。
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 売店では絹織物の製品も数多く並べられ、着物や帯という高価なものから小物まである。筆者もちょっと奮発して、車のキーホルダー(写真右)を買ったが、とても綺麗で気に入って使っている。
●森秀織物参考館「紫(ゆかり)」
群馬県桐生市東4-2-24/JR両毛線桐生駅から徒歩20分
入館700円/10~16時/月曜休/0277-45-3111 
投稿者:菊地正浩
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