手漉き和紙の里(18)~消える? 柳津(やないづ)和紙~  by 菊地 正浩

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JR只見線会津柳津駅とSL
●風光明媚な奥会津にある柳津 
 福島県河沼(かわぬま)郡柳津町は県西部に位置し、奥会津の会津坂下町(ばんげまち)の先にある。只見川と只見線(会津若松~小出)に沼田街道(新潟県柏崎に抜ける現R252)が並行している。会津坂下(ばんげ)と呼ぶが、会津坂本(さかもと)と呼ぶなど紛らわしい。柳津の町名は船の発着所に3本の大ヤナギがあったことからと言われる。昭和30年(1955)に柳津町と西山村が合併して誕生した。北部を只見川が山地を深く刻んで貫流し滝谷川に沿う。南部は那須火山帯に属する博士(はかせ)山(1482m)に連なる山間地で、典型的な豪雪寒冷地帯で耕地に乏しい。早くから沼田街道の宿場町として栄え、会津桐の産地としても有名であるが、手漉き和紙の里でもあった。只見川は柳津県立自然公園に指定され、その支流である銀山川、不動川、大柳川などの清流が手漉きの水に適していた。
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道の駅会津柳津観光物産センターと足湯とスタンプ
●消える? 柳津和紙 
 現在、柳津和紙の痕跡は見当らない。柳津町役場も近代的な建物になった。道の駅、会津柳津には観光物産センター清流苑が併設されている。取材によると、最近まで柳津和紙を販売していた。しかし、和紙を漉いていた人も亡くなり、後継者も別の仕事についており、定年後でないと和紙作りをしないという。やむなく和紙の販売を止め、いまでは何一つ無くなってしまった。このまま柳津和紙は消えてしまうのか? 
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 この柳津町には奇祭として知られる福満虚空蔵尊圓蔵寺がある。1月7日には七日堂裸祭りといって、褌一つの男たちが太い麻縄をよじ登って大鰐口をめざす。テレビで放映される勇壮な祭りは全国的に有名である。柳津温泉、西山温泉、只見川ライン下りなどの他、焼そばラーメンがテレビで紹介されて有名になった。今や奥会津の観光地として多くの観光客が訪れるようになったが、伝統文化の柳津和紙を忘れずに復活させて欲しいものである。
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( 2009年8月8日 寄稿 )