空の旅 ” ホンの紹介 ” by 荒木 啓幸
- 2012.09.02
- 空の旅(MS/AR)
.。.:*・゜空の上には様々なドラマがあります.。.:*・゜
今回ご紹介する本は「空の上で本当にあった心温まる物語」。著者はANAラーニングで後輩FAの訓練にあたっている三枝理枝子さんです。
私は、旅行会社に勤務して44年、約半世紀に亘ります。営業、企画、添乗などを経験してきましたが、平成15年から旅行業界の人材育成を承っています。なかでも接客業にとって欠かせないのがホスピタリティーです。この本は教材として役立つだけでなく、次に飛行機に乗るとき、単なる輸送手段としての飛行機ではなくドラマのステージとして乗ってみたいと思わせる一冊です。
飛行機を利用するお客様はかならずしも楽しい旅の途中とは限りません。傷心の旅や病を抱えての旅と、機上には様々なお客様がいらっしゃいます。楽しい旅のお客様は、気持ちにも余裕がありますので、特に難しい接客は必要ありません。
何か、悲しみや苦しみをお持ちのまま飛行機に乗るお客様には、その思いを癒すことはできなくとも、何とか短い時間でもゆっくり過ごして頂きたいと願っています。この本を読んでいると我々、乗客にも暖かい心さえあれば何かができるということがわかります。
第2巻は、昨年の震災後の刊行ですので家族の絆についても感動のハートフルエピソードが綴られています。
さて、この本には、地上で飛行機の運航を支えている人たちにもスポットを当てています。
皆さんも経験があると思いますが、飛行機が出発するとき整備士たちが一斉に並んで手を振って見送る姿を。 あのパフォーマンスは「グッバイウェーブ」と呼ぶそうです。発端はANA那覇空港の一人の整備士でした。自分が整備した飛行機が無事に目的地に着けるようにという気持ちがあの行動に現れたそうです。
今では、会社や空港を問わずどこでも見られる風景です。整備士が手を振ったとき、時々お客様も手を振って返されることがあります。
あのちっぽけな窓からでも、整備士にはハッキリ見えるものです。 (^^)
次のご旅行の際には是非、ハンカチをご用意の上、3万9000フィートの上空でお読み下さい。但し、感受性の強い方には電車や飛行機の中でお読みになるのはお勧めしません。周りの方が心配するか、ヘンに思います。
< 旅行のプロからのひとこと情報 >
記事中FAという言葉を使っています。一般的にはCA(キャビンアテンダント)
がわかり易いのですが、我々プロはFA(フライトアテンダント)を使います。
CAは某TV局のディレクターが番組のために作った造語なので・・・。
『空の上で本当にあった心温まる物語』 ISBN 978-4- 86063-421-6
『空の上で本当にあった心温まる物語2』 ISBN 978-4-86063-477-3
著者:三枝理枝子氏
出版社:あさ出版
各1,365円. 四六判
( 2012年9月2日 寄稿 )
-
前の記事
旅のごはん とんかつの店 『とん香』 (草津温泉) by 小川 金治 2012.08.31
-
次の記事
夜行の「高速ツアーバス」に乗ってみる① by 多賀 泰彦 2012.09.04