夜行の「高速ツアーバス」に乗ってみる②  by 多賀 泰彦

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ぐっすり寝られる高速ツアーバスは快適。しかし、安全性を忘れずに!! 

 

 東北の旅、帰りの高速ツアーバスは、盛岡駅西口発の新宿駅・東京駅・TDR(東京ディズニーランド)方面行き、夜行のバスを選んだ。指定された乗場が、ちょっと分かりにくかったが、ピンク色の観光バスが走り込んで来たので分かった。

 このWILLER EXPRESSのバスは、三沢駅・八戸駅発で盛岡駅西口からの乗客は6名程度。座席は2+1の3列。その中の1列独立型の席を確保しておいた。

バスの車内は、1+2の3列で、それぞれの座席の間はカーテンで仕切られていた

 ウイラートラベルのホームページによれば「シートタイプ〈NEWプレミアム〉(独立型)」という座席である。運転手のチェックを受け座席に着いた。カーテンが座席の左右3列とも降ろされていて、ソファのようなリクライニングを倒すと観光バスの中とは思えないほどだ。足元の空きも十分あり個室に入ったような錯覚が起きるほど。

 バスが走り出してしばらくして消灯すると完全な闇に。走行音はするものの、途中のトイレタイムに目を覚ましたぐらいで、外に一歩も出ず新宿駅近くまでぐっすり寝られた。

 新宿駅西口で降りたのは、10人程度であった。車内では子供の声もしたので、TDL行きの家族もいたのであろう。

新宿駅西口着。利用者は若い人が目立った

 バスの外、乗車口の近くに「企画実施旅行会社・WILLER TRAVEL株式会社、運行貸切バス会社・南部バス株式会社〈No203〉」と書かれていた。バスの塗色と仕様はウイラートラベルのものであるが、ナンバープレイトは八戸になっており、所有と運行はウイラーとは直接関係のない南部バスという形を取っているのも、今はやりのコラボレートなのであろう。地方のバス会社のやる気と、高速ツアーバス会社の実力を見る思いがする。

バスのボディには、WILLER TRAVELの名称とともに、南部バスの名称も記載

 南部バスは、青森県八戸市に本社を置くバス会社で、地元では路線バスほか、八戸-盛岡・仙台間の高速乗合バスも運行するバス会社である。貸切バスの保有数は「高速ツアーバス運行事業者リスト」によれば32台。

 筆者が利用したバスの料金は、盛岡から独立席8800円(2人掛け席は8300円)だった。各座席には電気コンセットがつき、ハンガーがありスーツなどを掛けることもできるなど車内設備も整っていた。他社の高速ツアーバスが盛岡駅~東京駅・新宿駅間5000~6000円ぐらい、同じく高速乗合(路線)バスが7800円、さらには東北新幹線が1万3840円ということを見れば、8800円という値段も選択肢の一つとなる。

とはいっても忘れてはならないのが、安全である。乗客へのサービスと低価格料金への努力も必要だが、何よりも必要なのは、運転者に必要以上の負荷がかからないようにすることだろう。盛岡からの高速ツアーバス会社の中には、高速道を安全運行速度として90kmでの運行をうたっているツアーもあった(オリオンバスツアー)。確かにスピードを多少落としても、目的地に朝着けばいいのだから、工夫の仕方があるのかもしれない。

終着の東京ディズニーランドに向けて出発
ツアーバスの旅行会社によっては、自社の全国ツアーバスの時刻表を発行しているので、手に入れておくと便利(写真の時刻表は「オリオンツアー」のもの)

 

( 2012年9月7日寄稿 )