手漉き和紙の里(KK)

4/8ページ

手漉き和紙の里(15)~絶えた大聖寺(だいしょうじ)藩の紙屋谷和紙~  by 菊地 正浩

  • 2009.07.18

山中温泉ホテル大黒屋と温泉  石川県加賀国江沼郡河南(かわみなみ)村長谷田(はせだ)、中田(なかだ)、上原(うわばら)、塚谷(つかたに)(現・加賀市山中温泉郷の玄関口)は、紙漉きが副業として盛んになった江戸時代中頃には、紙屋四ヵ村とも紙屋谷とも呼ばれたほどの手漉き和紙の里であった。現在でも紙屋谷、紙屋用水などと名称は残るが、区画整理された上原、塚谷の台地を加美谷(かみや)台と変えて地名としている。  紙屋谷の地形は山中町の北西部に位置し、大聖寺川中流域に広がる山代温泉と山中温泉の間にある。紙屋谷の歴史は古く、縄文、弥生、古墳時代の史跡も多い。奈良時代の天平(てんぴょう)12年(740)越前国江 […]

手漉き和紙の里(14)~信州松崎紙~  by 菊地 正浩

  • 2009.07.14

  高瀬川と北アルプス 旧千国街道(塩の道)入口  大町市松崎は長野県北西部、松本盆地北端に位置する高瀬川と鹿島川の扇状地で、北アルプスの眺望は抜群、西部は飛騨山脈の山岳地帯である。市名は、千国街道(糸魚川街道、塩の道)の宿場町中心地で、本町と中町の総称を大町と呼んだ。古くから塩の道として、また大町温泉郷や黒部渓谷の入口としても栄えてきた。   青木湖畔の桜と北アルプス 佐野坂中央分水界からの北アルプス  昭和29年(1954)大町と平、常盤、社(やしろ)の3村が合併。2006年平成の大合併で八坂村と美麻(みあさ)村を加え、県下最大の市となった。中世鎌倉時代の仁科(にしな)氏の館跡などがあり、 […]

手漉き和紙の里(13)~遠野(とおの)和紙~  by 菊地 正浩

  • 2009.07.09

  入遠野川の清流 福島県磐城国石城郡上遠野村(かどおのむら)深山田(みやまだ)(現いわき市)は、常磐の山里に古くから伝わる和紙の里である。いわき市は昭和41年(1966)、平(たいら)、磐城(いわき)、常磐(じょうばん)、内郷(うちごう)と四倉(よつくら)、遠野、小川、久之浜の5市4町、好間(よしま)、三和(みわ)、田人(たびと)、川前(かわまえ)、大久(おおひさ)の5村が大合併した全国でも珍しいケースである。夏井川、藤原川、鮫川など総計21流の各支流をあわせて太平洋へと流れ込む。日本一長い海岸線(約80㎞)と日本最大級の面積を誇る広域都市である。   遠野和紙の紙漉き場 そのなかで北西に位 […]

手漉き和紙の里(12)~陸奥紙(みちのくし)・上川崎和紙~  by 菊地 正浩

  • 2009.07.02

  阿武隈川の清流と和紙の里  福島県岩代国安達郡安達町(あだちまち)上川崎村(現・二本松市)は千年の歴史を伝承する和紙の里である。西部は安達太良(あだたら)連峰の裾野にあたる丘陵部で、東に向って低くなっていき阿武隈川に至る。この東端が上川崎和紙発祥地で、ここから小澤、下川崎、沼袋各村へと広まり、二本松藩の用紙を献納していった。   智恵子大橋から和紙の里を望む  文献によると後冷泉(ごれいぜい)天皇の御宇(ぎょう)(康平年中1058)、漉き場は本村川之端栗船渡し場の畔で、冬に安達太良おろしと呼ばれる強い風の吹く時に行われたと言われる。冬は川が最も澄んで、楮も虫がつかないからである。この渡し場 […]

手漉き和紙の里(11)~日中(にっちゅう)和紙・川口判の痕跡なし~  by 菊地 正浩

  • 2009.06.23

  かつては清流で手漉き和紙の里があった押切川沿い(左)と平成の大合併により喜多方市となり熱塩加納村が閉村となった記念碑 福島県岩代国耶麻郡熱塩村(やまぐんあつしおむら)日中(現・喜多方市日中)は山形県境に位置し、東・西・北の三方を山に囲まれ、南は会津盆地に向かって開けている。冬は積雪1~2mにもなる豪雪地帯、耕地に恵まれず米の獲れない寒村で、春夏は養蚕、秋は炭焼、冬には紙漉きをしていた。 かつては押切川と野辺沢川を挟み、日中と新村(しんそん)地区に別れていた手漉き和紙の里であった。昭和29年(1954)に熱塩、加納と朝倉村の一部が合併して熱塩加納村(あつしおかのうむら)となった。平成18年( […]

1 4 8