奄美大島プロジェクト

奄美の加計呂麻バスの取材とその後の交流  by 小川 金治

 加計呂麻島は、奄美大島の南端と大島海峡を挟んで接している。北西から南東に細長い島で、複雑な海岸線に30もの集落があり、1500人の人々が暮らす。奄美大島南岸の港町古仁屋から、町営フェリー「かけろま」が就航し、加計呂麻島の瀬相港に4便、生間港に3便交互に運行している。加計呂麻バスはフェリーの発着に合わせて島内の集落を繋いでいる。島は過疎化が進み高齢者が多く暮らす。島にはタクシーも無く、路線バスは島の足として無くてはならない存在だ。加計呂麻バスは、2009年9月24日放送のNHKにっぽん紀行「みんなのバスが走る島」で紹介された。

 2005年12月中旬に初めて訪れて、加計呂麻島に路線バスがあることを知った。加計呂麻バスは、全国版の大型時刻表には掲載されていない。島民の足として頑張る加計呂麻バスに公共交通の原点を見いだし、毎年のように訪ねて島の生活と路線バスの取材を続けている。加計呂麻バス社長の林範孝さんは島を良くするための活動や、独自の島伝い観光の構想など迸る情熱的な人だ。日焼けして引き締まった精悍な笑顔と、熱い思いに魅了される。

 加計呂麻島の現状を知って貰いたく、2010年「旅行主義」7号に「島民の足を守る・加計呂麻バス」を執筆した。例会で「奄美大島・加計呂麻島取材会」を提案し、2010年5月の連休明けに森田芳夫夫妻、多賀泰彦、小川金治の4名が3泊4日の予定で参加した。加計呂麻バス社長林さんとお会いして、熱い思いを伺うことができた。会としても、過疎地の公共交通の問題を今後も注視していく所存である。