地熱発電と温泉

鬼首温泉郷の地熱発電所を考える  by 菊地 正浩記

  • 2015.02.06

    宮城県玉造郡鳴子町鬼首(おにこうべ)は、鳴子温泉の北域で秋田県境に近い。    那須火山帯の栗駒火山群鬼首火山に属し、その外輪山麓に展開する広大な段丘高原上に発達した環状盆地にある。これに沿って流れる荒雄川(江合川)が、ほぼ円形に近い流形で中央火口丘の荒雄岳を囲み自然が保存されている。   地名は坂上田村麻呂が陸奥蝦夷征伐の際、蝦夷首領大武丸を切った時、その首がこの地に落ちたという伝説による。(宮城県地名考)しかし、本来は鬼切部(おにきりべ)と呼ばれていたものの訛りと思われている。鬼切部は平安後期、奥六郷の安倍頼時と陸奥大将藤原登任の大戦があった […]

八幡平・岩手山、二つの火山をとりまく温泉郷と地熱発電所を考える  by 菊地 正浩

  • 2014.09.09

  岩手県八幡平市(旧西根町、松尾村、安代町)。西部には八幡平をはじめとする山々が南北に連なり、十和田・八幡平国立公園を形成。ダケカンバ、アオモリトドマツ、ブナなどの原生林があり、湿原や火口湖などの自然美が壮観な観光、交流の拠点となっている。 南部には岩手山が聳え、北東斜面には特別天然記念物の焼走り溶岩流が広がっている。 中央には緑が美しい安比高原があり、オールシーズン全国から多くの観光客が訪れる。   ○数多くの温泉がある日本有数の湯治場 開湯269年の歴史を持つ松川温泉と松川地熱発電所を後にして、八幡平樹海ライン(R318)を走行すると、岩手・秋田の県境で八幡平山頂手前 […]

松川地熱発電所を考える「松川温泉と八幡平温泉郷」  by 菊地正浩

  • 2014.08.20

  ○坂上田村麻呂伝説と地名伝承 岩手県岩手郡松尾村。田村麻呂の陸奥蝦夷征伐に纏わる伝説がある。しかし、田村麻呂は松尾の地に足を踏み入れていないと言われる。蝦夷征伐の歴代の武将達のうち、松尾に足跡を残したのは小野春風と坂上好蔭(田村麻呂の曾孫)の二人だけとされる。 田村麻呂と源義家の伝説は、八幡平としては縁の深い武将であると語り継がれてきた。しかし、まちがいなく証明できる史実はない。あくまでも伝説上の人物の域をでない。 村名はアイヌ語のマトウ(深山に行くところに清水のある地)の転訛説。一方、田村麻呂の蝦夷征伐に関する地名伝承として、松川は魔の住む魔地川、松尾は鬼の出る境の魔地尾、寄木 […]

日本三大薬湯 松之山温泉の地熱発電を考える  by 菊地正浩

  • 2014.04.22

    新潟と長野の県境、山地で平坦に乏しい有数の豪雪地帯。700年前、湯本川の浸食によってできた深い谷間から熱い湯が湧出した。一羽の鷹が毎日同じ場所に舞い降り、終日葦の茂みに潜んでいるのを一人の樵人が谷間に降りて熱泉を発見、「鷹の湯」として越後三名湯の一つになった。薬効の高さは、有馬、草津と並び日本三大薬湯と呼ばれている。  源泉は湯本地区の鷹の湯、天水島地区の鏡の湯、兎口地区の庚申の湯の三つで、総称して松之山温泉郷という。他に、翠ノ湯、湯ノ湯、じょうもんの湯、湯坂の湯の四源泉がある。温泉街を形成するのは鷹の湯である。 < 歴史と権威のある温泉 >  古文書に […]