東伊豆町(稲取)の風力発電1

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富士箱根伊豆国立公園内の観光地、東伊豆町で、クリーンな新エネルギー導入か、自然環境、植生、生態系の維持、騒音・低周波公害から守れるか。行政と事業者VS風車問題を考える住民の会が、是か非かで揺れている。
観光地におけるウインドファーム(風車牧場)の是非を問う
10月16日(火)、旅ジャーナリスト会議有志メンバーは実情を調査するため稲取に行き、現地視察と取材を行った。結果、筆者は観光立国を宣言した我が国が、貴重な観光資源を失うことになりかねない、即ち、自然景観・植生・生態系等の連鎖的崩壊かつ、観光に携わる地域住民の人的被害を勘案すれば、東伊豆町でのウインドファーム(風車牧場)は似合わないと思う。以下、いくつかの問題を提起して考察しその是非を問いたい。
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地形図でウィンドファーム建設予定地を見る。○印は浅間山、天目山、三筋山、大峰山(国土地理院発行:5万分の1)
○東伊豆町とは
静岡県賀茂郡東伊豆町、伊豆半島の東岸、相模湾に臨む町。北は伊東市に接し、昭和34年(1959)5月3日、稲取町と城東(きとう)村が合併、現在人口1万4745人。眼前に大島が望める漁業の町で、伊豆半島最大の漁港といわれた稲取港をはじめ、大川、北川(ほっかわ)、白田(しらだ)の各港があって、半島随一の漁獲量を誇る。後背地は天城山へと連なる山岳地帯で、ミカン、山菜、ワサビ等の名産地として知られる。
もともと豊かな資源に恵まれた土地であったが、大川、北川、熱川、片瀬、白田、稲取の各地に温泉が湧出、昭和36年(1961)には伊豆急行が開通し、レジャーブームに乗って新興温泉町へと変貌していった。明治19年(1886)大日本帝国陸地測量部発行の地形図、昭和22年(1947)内務省地理調査所発行の地形図、いずれを見てもこの地域での温泉地図記号の表記されている所は、片瀬のみ1カ所である。国土地理院発行の最新の地形図を見ると十数カ所におよび、いかに戦後になって温泉観光地へと変貌してきたかが判る。海岸線一帯は磯釣、船釣、山岳地帯は狩猟やミカン、オレンジ、イチゴ、山菜、ワサビ、熱川バナナ園、ワニ園、ゴルフ場と観光資源も揃い別荘地も点在している。
江戸時代には伊豆の各地で採石が行われ、稲取などからも江戸、大坂城修復用の石が運ばれた。白田では江戸中期から硫黄を採掘、公害訴訟も起こった。隣接には河津桜で有名な河津温泉郷から天城路へと続き、東伊豆町はこれらの玄関口ともなっている。
misujiyama1.jpg三筋山
○東伊豆町における風力発電計画とは
既設の浅間(せんげん)山(516m)3基、19年度完成をめざし建設中の通称天目山(箒木〈ほうき〉山1023mの手前天目地区約5~600m)10基、風況調査を実施し補助金採択がされた三筋(みすじ)山(821m)と大峰(おおみね)山(491m)に25基。計画通り完成すれば合計38基、高さ100mの巨大風車が伊豆半島の観光地に出現することになる。我が国の国立公園内観光地に、これほどのウインドファーム(風車牧場)は他に類例を見ない。当然のことながら色々な影響が考えられよう。この建設の是非をめぐって行政・事業者側と風車問題を考える住民の会が対立し揺れているのである。
パート2につづく
投稿者:菊地正浩
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