450年の伝統 日本一の野外劇・山あげ祭り

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 山あげ祭り(国の重要無形民俗文化財指定)とは、全国でも類似を見ない絢爛豪華な野外歌舞伎です。今から450年前の永禄3年(1560)、下野国烏山に疫病が大流行した。烏山城主那須資胤(すけたね)が災厄を納めるため、八雲神社にお祀りし奉納余興に相撲や神楽などを行った。やがて「山あげ」という常磐津所作の野外歌舞伎を行うようになったのが始まりです。
 ちなみに全国の名立たる祭りをいくつか列挙してみましょう。飛騨の高山祭り、京都の葵祭り、諏訪の御柱、博多どんたく、秋田の竿灯祭、青森のねぶた、仙台の七夕祭り、富山の風の盆、長崎・唐津のおくんち、秩父の夜祭り、如何でしょうまだまだ沢山ありますが、どれも見たり聞いたりする有名な祭りです。先般の旅じゃで和紙のことを紹介しましたが、開国を迫った欧米人が日本人の暮らしを本国への報告書の中で、「木と竹と紙の生活」という表現で紹介しています。そうです、生活と神事、祭りは古来より日本独特の文化、しかも木と竹と紙の文化です。
 ここに紹介する「山あげ祭り」も大きな大きな凧を作るように竹を裂いて組み、烏山和紙を貼り山、水、花、木、里等々を描いたものを立ち上げるのです。しかも六町内が毎年順番に当番となり、前年より少しでも山を高くつくり上げようと競うのです。山が高ければ高いほど神様が降りやすいというものです。竹と和紙を使い描いた大きな山は、所作狂言(おどり)の野外舞台背景で、若衆の一糸乱れぬ息の合った行動で道路上に立上げられるのです。その山を背景に常磐津の三味線、笛、太鼓、歌にのって、選ばれた踊り娘達が美しい舞を披露、狂言芝居をも演じるという、日本一の野外劇であります。
 演じられる奉納余興には「将門」「吉野山」「蛇姫様」等で各々50分ほども演じます。年に一度町を「あげ」ての祭りは、全国各地から多くの観光客を呼び、最近では外国人観光客の姿も多くなりました。はからずも外国人が「木と竹と紙の生活」と日本を紹介しましたが、全国各地の祭りも木と竹と紙を抜きにしては語れません。とくに烏山和紙を生んだ烏山の山あげ祭りは代表的なものと言えましょう。
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 祭りは毎年7月の第3金、土、日の3日間ですが、普段は那須烏山市山あげ会館へ行くと、映像やミニチュアで見ることができ、三町の立派な神輿も展示されています。今年も7月に向け、町中が熱くなっていくことでしょう。
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山あげ会館 栃木県那須烏山市金井2-5-26
●JR烏山線烏山駅から徒歩5分。入館500円。9~16時。火曜休。TEL0287-84-1977
投稿者:菊地正浩
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