21世紀の建築のトレンドは”半壊型”?

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 デュッセルドルフのライン河の港では、古い施設を思い切って撤去し、新しい建物が次々と造られている。
 6月中旬、市役所が仕立てたバスで、われわれ「日独協会千葉支部」の一行30人はここに案内された。
 現地の日本人通訳の説明によると、新しい世紀へ向けて、新名所を造るという意気込みで市が発注した写真のような建物が三つ軒を並べている。アメリカの設計家ゲーリーの作品というが、どうも私は気に入らない。
 協会のメンバーの一人が「どうですか、森田さん、ここにドイツ事務所でもお持ちになったら」と突然冷やかしてきた。
 「いやだね。ドイツの建築を特徴づけるバルコニーもなく、広い窓もない。さらにゼラニュウムなどの花を置くところが何もない。こんな即物的で、根性が曲がった建物はごめんこうむる。もしかしたら床も傾いているんじゃないですか」と、聞こえよがしに答えた。
 現地通訳の女性が「ドイツのイメージをお聞きし、大変勉強になりました」と一言私に囁いた。
 このような建物で人目を引くという市の発想はいかがなものか、でもこれで納得する人がいるのかもしれない。しかしこの情景は地震直後の壊れかかったビル、または空襲による爆風でへし曲がった壁を連想させる。
 もはや「戦争と地震」を知らない世代や、奇をてらうアメリカ人にはうけるのだろう。
 そういえばこのブログで伊藤会員が今年、銀座にこの手のビルができたことを伝えていた。
 同じ時代に呼吸をしながら、とんでもない考えを持つ人がいるものだ。
投稿者:森田芳夫
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