たかが凧・されど凧

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安藤広重作「名所江戸百景」大判錦絵の霞かせき(左)と日比谷さくら田(右)
 江戸時代に開国を迫った欧米人は、日本の生活文化を「木と竹と紙」と評しました。昔は正月ともなると羽根突き、竹馬、面子、凧揚げが風物詩でした。我が国の凧揚げの歴史は古く、千年以上も前、平安時代以前に中国から伝わったとされます。この頃、すでに紙漉き技術が伝播されていたので、日本独特の和紙による凧が作られたとしても何ら不思議ではありません。
 当初は豊作を占ったり、吉凶判断をするためなど宗教色が強かったのですが、遠くからでも良く見えるので、戦争時に狼煙と同様連絡手段にも使われました。天下統一がなり戦のなくなった江戸時代になると、手漉き和紙の生産も奨励され、同時に浮世絵を中心とする日本独特の文化が開花し、その一つに凧があります。
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 凧は商人の屋号や主家の家紋を描いて揚げると宣伝効果は抜群でした。また、正月には子どもの遊びとして凧揚げが流行り、浮世絵や錦絵、商売繁盛の達磨や福助、子どもに受ける金太郎や桃太郎などの御伽噺物が描かれるようになりました。
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写真左から西の内紙の凧/烏山和紙の凧/小川和紙の凧
 今日では街中での凧揚げも難しくなりましたが、地方の広場や河原などで、大凧上げ祭り、喧嘩凧、連凧を競うなど、凧は日本の文化を継承しています。筆者は手漉き和紙の里を訪ねる旅をしながら、その土地柄の凧を興味深く見て歩きます。
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 ここに日本橋の凧の博物館を紹介し、しばし昔の記憶を蘇らしていただきたいと思います。筆者ならずとも読者の中にも昔、凧揚げ、羽根突き、竹馬、面子に夢中となった時代があったことと思います。
凧の博物館 東京都中央区日本橋1-12-10たいめいけん5階
入館200円。11~17時。日曜、祝日休。TEL03-3271-2465
凧の博物館ホームページ http://www.taimeiken.co.jp/tako/index_t.htm
投稿者:菊地正浩
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