2009ヨーロッパ鉄道旅日記5

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ツェレへ
 エリカ街道とは、大変ロマンチックな名前の道である。ハンブルグ近郊に多く咲く紫色の「エリカの花」の名を付けたこの街道は、ハンブルグを起点にしてハノーバーまでつづく。その街道の途中にツェレの町がある。滞在する二日間、鉄道駅からは1キロ程離れた、木骨組みの家が並ぶ旧市街に宿をとる。
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 1200年代に建てられた元リューネブルグ公爵の居城を頭にして、端から端に歩いても10分足らずの4、5本の石畳の通りに、約480軒の木骨組みの家が連なる。カラフルな色の家々は、2階以上が外側に張り出た家が多く、1階の面積が税金の対象になるため、居住部分を2階以上に求めたという、町の歴史がうかがえる。
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 イギリス王家と伝統的つながりがあり、第2次世界大戦で爆撃からは逃れたという歴史ある町は、美しい姿をそのままに、観光地っぽくなく、活気に溢れている。朝の6時はもう日も昇り明るいのだが、まだ町は寝静まっていて人の気配がほとんどない。シャッター音を響せながら、歴史の刻まれた一軒一軒の家屋を眺め歩いていると、細い路地から立派な髭面の老人が出てきた。
「グーテンモルゲン、美しい町ですね!」
 おもむろに声をかける。老人は自慢笑顔で話してきた。
「この町はドイツでナンバーワンじゃよ」
 老人のベリーグッドの声が、わが視界に拡がる家並みに、拍車をかけていた。
つづく
投稿者:にわあつし
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